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無理は承知の夏バーゲン後倒し運動
 2月は寒さで春物が売れず、3月は寒さが和らいだ後半に春物が売れたものの在庫の多くは4月に持ち越され、4月に入ってようやく実需が盛り上がって春物消化が進み初夏物も動き出し、GWへ向けて盛夏物や晩夏物の提案も始まったが、春の寒冷な気候に災いされ総じて例年より2〜3週間、季節展開が後ズレしている。この先はGWで初夏物実需が盛り上がり、春物残品も処理され、いよいよ夏物の季節となるわけだが、例年、GW明けから夏バーゲンまでの期間は短くプロパーの山がない。ゆえにGW明けは夏物新規投入が細り、6月に入るとバーゲンを待てずGWで売れ残った初夏物と夏物をシークレットセールやプレセールで処理するお店が増えて来る。今年は春物実需がずれ込んだ分、初夏物の実需期が短くなり、押されて夏物のプロパー販売期間がさらに短くなるから、GW明けに敢えて夏物を投入するお店は極めて限られそうだ。そんな状況なのに、敢えてGW明けに夏物を投入しようと言う動きが一部の大手アパレルに見られる。
 それは三越伊勢丹が提案して業界に広めようとしている夏バーゲン後倒し運動に拠るもののようだ。毎年、夏物はプロパー販売期間が短いため品揃えが広がらず、夏バーゲンが前倒される傾向が強いが、この傾向に業界ぐるみで歯止めを掛けようというのが三越伊勢丹の提案で、ルミネなども賛同していると聞く。その計画に拠ると今年の夏バーゲンは7月13日スタートになるという。百貨店側はその間の売場を埋める夏物プロパー企画を各大手メーカーに要請しており、一部の大手アパレルが開発に動いているのだ。
 しかし、夏物のプロパー販売期間が短いのは春/初夏在庫消化の流れによる必然であり、今年はさらに短くなる事が避けられない。その分、シークレットセールやプレセールなどのバーゲン実質前倒しが一段と広がる事になる。そんな中で夏バーゲンを後倒して夏物プロパー販売期間を伸ばそうとするのは無理がありすぎる。世界のファッション都市は何処も6月最後の週末から夏バーゲンに入る(パリ市はそれを政令で定めている)が、それが北半球文明都市の季節進行と季節在庫消化の流れに合致しているからであろう。
 夏バーゲンが早い分、欧州では夏はバカンスをとって売場は開店休業を決め込んだり、プレフォール企画を展開したり、米国ではバックトゥスクール企画を展開しており、夏バーゲンを後倒す話はまったく聞かない。それは季節展開の必然に棹さす無理難題だからだ。
 私は、無理に夏バーゲンを後倒すより、自然な時期に夏バーゲンを行って在庫を消化し、その後にプレフォールや晩夏物の展開を盛り上げるべきだと考える。バーゲン明けの7月後半から秋物が本格的に立ち上がるお盆明けまでの間、夏のライフスタイル提案や実需対応を図る方が無理に夏バーゲンを後倒すより遥かに現実的だ。三越伊勢丹を初めとする業界の指導層に再考を促したい。
 2012/04/20 09:54  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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