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伊勢丹新宿本店再生策
 先週末のブログで伊勢丹新宿本店の来春リモデルへ向けた三越伊勢丹HD新経営陣の戦略構想への絶望を語ったが、関係者が理解し易いよう、もう少し具体的な指摘を加えておきたい。
 小売業にとって至上命題は顧客満足であり、顧客の失望と労苦を極小化しつつ売上を極大化するシステム変革を常に仕掛け続けなければ競争から脱落してしまう。伊勢丹新宿本店の課題は、顧客に苦痛を強いるほど、ブランドの品揃えを限定せざるを得ないほど、高止まりした売上を下げる事なく、顧客満足を改善する事にあると思うが、その突破口は館内ロジスティクスにあると見た。
 これはプロとしてより長年の顧客としての実感だが、新宿伊勢丹ではどのブランドの売場でも品揃えが(販売効率の低い他百貨店と較べて)相当に限定されており、接客途中で販売員さんが何処か遠くのストック室に消えて10分も15分も帰って来ない事が多い。その間、顧客は売場で待たざるを得ず、待ち渋滞による混雑が加速される。もうひとつ、前回も指摘したが、正社員のいる集中レジへ派遣店員が商品を持って往復しなければ精算が済まず、その為のスペースや二重人件費はもちろんだが、往復する派遣店員の渋滞、待たされる顧客の渋滞が混雑に輪をかけている事は明らかだ。
 このように、伊勢丹新宿本店の売上限界は旧態な販売管理システムと非効率な後方ストック配置による館内トラフィック混雑によるもので、来春のリモデルへ向けては以下の三点を抜本是正すべきと思われる。
1)新宿本店を商品在庫が経由しない販売システムを拡大する。物理的ハードルを下げるにはネットやTV、チラシ媒体で受注してメーカーやDCから顧客へ直送する販売システムの比率を高めればよい。アマゾンやスタートトゥディのようなロジスティクス戦略が百貨店にあったら、今日のような苦境には陥らなかったであろう。
2)本館/新館/事務館/駐車館/伊勢丹会館を含めた荷受け場とストック室の配置、後方物流のルートを体系的に再編し、トラフィックの無駄を極小化する。この問題を解決するには物流施設の専門家が不可欠だが、避難階段移動を含めた建築的消防法的対策も突破口になると思われる。
3)SC方式のオンライン(オフライン併用)レジシステムを導入し、派遣店員が売場から移動する事なく精算を完了出来るようにする。これは混雑や待ちを解消するだけでなく、要のスペースを占めていた集中レジが消える事により、売場が増えたり後方ストックを拡大する効果も期待される。
 この三点を遂行するなら売場面積はむしろ増え、館内トラフィック混雑は相当に緩和されて買い物の労苦も軽減されるはずで、『斬新な売場に改装するので売場面積が12%も減る』という大西洋氏の論旨は著しくリアリティを欠いている。市井の老識者の指摘に応える意志など持たないのかも知れないが、出来ればご説明頂きたいものだ。
 2012/01/30 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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