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ハイブリッド百貨店の分岐点
 今朝の繊研新聞は百貨店特集で、10年度の上位100店の総売上は前期比2.8%減と5期連続して減少したが、08年の6.1%減、09年の9.3%減に較べると減少幅が縮小したと報じている。それら売上統計に続いて事業構造の問題を指摘し、大手百貨店各社のMD統括役員の座談会を掲載していた。よく出来た特集だと思うが、日本の百貨店が長い衰退のトンネルを抜けた訳でもその兆しが見えて来た訳でもない。
 94年から02年の8年間でほぼ8ポイントも歩率を切り上げて百貨店ブランドのバリュー競争力を食い潰した果てに、駅ビルへのOL層の流失にあわてて駅ビルブランドの導入に走り、歩率がほぼ94年水準に逆戻りして収益を圧迫されているのが今の百貨店だ。駅ビルブランド導入による歩率の低下を人員削減とオペレーションコストの圧縮で吸収して収益性を確保しているのはハイブリッド百貨店戦略を明確にした大丸松坂屋だけで、他百貨店はこれまでのヤング戦略の延長上で駅ビルブランドを部分的に導入しているに過ぎない。本気で駅ビルと戦うつもりなら、本命はヤングOLではなくトランスキャリアだ。
 百貨店レディスファッションの中核を支えて来た百貨店トランスキャリアブランドはMDの小細工を繰り返して同質化しバリュー競争力を失ってしまった。これを駅ビル系トランスキャリアブランド/セレクトショップに置き換えない限り、駅ビルへの顧客流失は止まらない。大阪駅JR三越伊勢丹の苦戦の要因のひとつとして指摘すべきであろう。
 駅ビル系ヤング〜ヤングOLブランドを部分的に導入するだけならコスト革新を先伸ばす事も可能だが、百貨店レディスファッションの中核たるトランスキャリアを駅ビル系ブランド/セレクトショップに置き換えるとなれば抜本的なコスト圧縮を避けては通れない。トランスキャリアはハイブリッド百貨店が確立されるか否かを分ける分岐点となるのではないか。
 2011/07/26 09:35  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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