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岐路に立つSPA
 当社主催のSPAC研究会メンバーに毎年5月、お答え頂いている調達手法アンケートが今年もまとまったが、リーマンショック以降に加速した原価率の切り下げが止まらない。リーマン前の08年から11年にかけて、自社開発商品の原価率は2.5ポイント低下したが、OEM商品のそれは4.5ポイントも低下している。開発スタッフの固定費がかかる自社開発ならともかく、OEMやODMで原価率が25%という回答もあり、いったいどんな品質なのかと不安になってしまう。メンバー企業ではさすがに聞かないが、中にはODMで原価率が18%というカジュアルチェーンもあるそうだ。
 小売価格を上げないで(実際には07年度から10年度間に平均購入単価は14.5%も低下している)原価率を切り下げれば品質は確実に低下するが、OEM/ODMに依存するカジュアルチェーンの商品を見ると縫製はともかく素材は間違いなく切り下げられている。高騰する羊毛や綿の混率を下げて露骨にローカル合繊比率を上げた商品が急増しているではないか。
 かつて70年代にKマート商品を見た時、こんな合繊(途上国生産のローカル合繊)だらけのガサガサ商品を日本人が受け入れる事は決してあるまいと思ったものだが、ファストファッション上陸以降、日本の若者は嬉々としてそんな商品を受け入れるようになった。業界の玄人には嘆かわしい変化とも感性の退化とも受け取れるが、事実として正視するしかない。定性的な印象に加え、調達原価率の統計的変化でも感性の退化は否定し難い事実なのだが・・・・・・
 品質と原価率を切り下げ、宣伝費をかけてブランディングする企業が勝ち組になる世相(世界共通のようです)は、商人道と流通革命の理想を追って来たSPA研究者には馴染めません。ファストファッション以降のSPAは『製販一貫の効率的なビジネスモデルで良品を手頃に供給する』という理想を見失っているように思えます。SPAは岐路に立っているのではないでしょうか。
 2011/05/18 09:01  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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