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ファクトリーダイレクトSPA
 今朝の日経MJにメーカーズシャツ鎌倉が大きく取り上げられていたが、同社は国内生産に徹したファクトリーダイレクトSPAとして業界では以前から注目されていた。小売系はもちろんメーカー系のSPAでも生産は商社などを経由して外部の工場に依存するファブレスモデルが主流だが、同社は自ら素材を調達して国内の10工場とダイレクトな生産体制を組んで来たばかりか、今度は協力工場と折半出資で直営工場の開設に動いている。直営工場によってファクトリーダイレクトSPAを極め、品質と価格の合理性に徹したフアクトリーブランドを確立しようとしているのだ。
 同社の商品原価率は約60%と聞くが、これはSPAとしては異例に高いもので、極めて良心的な価格設定と言えよう。ODM依存の小売系SPAでも40%前後、工場直接発注の大手SPAでは30%前後、流通コストの高い百貨店ブランドなどでは20から25%、大手グローバルSPAでは15%程度とされるから、60%ではよほど消化回転がスムースでないと利益は出ない。中間業者を一切排した良心価格のファクトリーダイレクトSPAが顧客に認められた故の奇跡と言うべきだ。
 同社の貞末会長は『もっと生産性を高めれば、日本の工場は人件費上昇が続く中国などとコスト面でも十分に戦える』と発言しているが、私もまったく同感だ。シングルライナーやマルチライナーのように特定アイテムに特化してファクトリーダイレクトな生産体制を確立すれば、60%は無理でも40〜50%の原価率で十分な利益を出していけるのではないか。
 グローバル展開には原価率を15%以下に抑えるべきだという指摘もあるようだが、SPAの本質は製販一貫のコスト合理性にあるのだから、本末転倒という批判を免れない。SPAのコスト合理性(品質と価格のバランス)を追求するほど垂直統合調達が極まり、その究極はファクトリーダイレクトSPAになる、というのが私の見解だ。国内産地の生産チェーンは既に回復不能なほど分断されてしまったが、パンツやシャツ、高級ニットなどではまだ手遅れではない。ファクトリーダイレクトSPAの奔流が国内産地の復活に繋がればと願うのは私だけではないだろう。
 2010/11/29 09:22  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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