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国産繊維製品調達促進法を制定しよう
 一昨日の繊研新聞に『メード・イン・ジャパン』賛同の意見広告が載っていたが、『欲しいときに国内の工場が無い、でいいのか』という意見にはもちろん大賛成だが、繊研新聞の意見広告だけではどうしようもない。経済原則で動く商売の世界では割高と解っている商品をわざわざ調達するのは会社や株主に対する背任行為となりかねないから、メーカーズシャツ鎌倉のように、割高なコストに見合う付加価値を実現出来るビジネスモデルを組織ぐるみで推進する必要が在る。私が究極の垂直統合ビジネスモデルとしてファクトリーブランドを提唱しているのもそんな視点からなのだ。
 せっかく業界の心ある方々が賛同して『メード・イン・ジャパン』を啓蒙するのなら、もっと具体的な実効のある法律の制定を目標とすべきではないか。日本の繊維産業を見殺しにしたのも法律(71年制定の特定繊維工業構造改善臨時措置法〜74年改定の繊維工業構造改善臨時措置法)なら、それを再生するのも法律であるべきだ。当時の日米貿易摩擦と沖縄返還にからんで繊維業界が生け贄にされていく経緯は城山三郎の『官僚たちの夏』に生々しく描かれている。
 私が提唱したいのは『国産繊維製品調達促進法』に他ならない。例にとるのは不適切かもしれないが、『障害者雇用促進法』に見るように、一定以上の仕入額の企業に対して一定比率以上の国産繊維製品調達を事実上、義務づける法律を制定すべきと考える。
 『障害者雇用促進法』は常用雇用201人以上の企業に対して1.8%(56人に一人)以上の障害者雇用を義務づけるもので、一人不足する毎に月5万円(平成27年6月までは4万円)の障害者雇用納付金を徴収し、一人超える毎に月2.7万円の障害者雇用調整金を支給するという運用が行われている。06年から三年連続で障害者雇用ランキング第一位のファーストリテイリングは08年で常用雇用者1万1000人に対して約700人の障害者(重度障害者をカウントして890人と認定)を雇用していたから、障害者雇用調整金だけで2億2420万円が支給された計算になる。逆に不足した企業は障害者雇用納付金を徴収されるから、販売子会社を200人以下に分社して納付を回避している企業も少なくない。そんな企業と較べたらファーストリテイリングの真摯な障害者雇用は高く評価されるべきであろう。
 まったくの試案だが、『国産繊維製品調達促進法』では繊維製品仕入れ高年間10億円以上の企業に対して仕入れ高の10%以上の国産繊維製品調達を義務づけたい。09年度の国産繊維製品シェアは3.7%だから、10%以上を義務づけて国産繊維製品の普及を図るのが妥当と思われる。この比率を下回った場合は下回った金額に対して20%の課徴金を徴収し、上回った場合は上回った金額に対して20%の奨励金を支給するというものだ。
 本気で国内繊維産業を再生したいなら、このような法律の制定が不可欠と思われる。法律には素人の発想なので正確さを欠くという指摘は甘んじて受けるが、『メード・イン・ジャパン』再生への賛同意見を具体的な法律制定に繋げるスキームが求められているのではないか。関係者の具体的アクションを望みたい。
 2010/11/24 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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