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百貨店のリストラはまだ3合目
 中国や韓国の百貨店業界やアパレルビジネスを泥縄で研究していますが、日本語のレポートは体系だったものがなく、やむなく親しいアナリストの方々から英文のレポートを取り寄せては怪しい英語力で必死に読破しています。
 ある中国人アナリストのレポートでは米日韓中4ヶ国の百貨店を比較していましたが、以下の2点が興味深く思われました。ひとつは人口1000人あたり百貨店売場面積で、米国の165平米、日本の53平米、韓国の32平米に対して中国は8平米に過ぎず、幾らでも出店余地があるというもの。ひとつは、米国の大手百貨店が40%以上ものグロス・マージンがあるのにひと桁利益率に留まるのに対して、中国の大手百貨店はグロス・マージンが30%程度なのに営業利益率は10%を超えている、というものでした。
 我国の百貨店業界では『委託・消化取引に依存してグロス・マージンが低いから儲からないので、買取の自主仕入れを拡大すべきだ』という指摘が繰り替えされて来ましたが、米国の百貨店は買取比率が極めて高く(靴や宝飾品を除く大半が買取)グロス・マージンが大きいにも関わらず必ずしも高収益でない一方、日本以上に委託・消化取引に依存してグロス・マージンが薄い中国の大手百貨店は遥かに高収益だという現実をどう見るべきなのでしょうか。答えははっきりしていますよ! 
 中国の百貨店は増え続ける都市人口に比べて絶対店舗数が不足しているとは言え、その販売効率は年坪100万円以下と日本の百貨店(平均して年坪328万円)に比べると遥かに低いのが実情です。低販売効率でグロス・マージンが薄くても高収益なのは、営業に不必要な無駄な人材を抱えていないからなのです。日本の百貨店は営業に関係の無い後方要員を大量に抱えており、中国の百貨店より遥かに販売効率が高いのに儲からないというのが実態なのです。
 リーマンショック以降の販売不振下で百貨店のリストラが進んでいますが、それらは派遣店員と重複する人員や不要な後方部門に特化されておらず、削ってはならない営業要員の削減が目立ちます。ショッピングセンター型レジシステムを導入してキャッシャー/サッカー要員と管理要員を一気に削減しない限り、百貨店のコスト構造は変わりませんよ。その意味では、百貨店のリストラはまだ3合目と言うべきでしょう。
 2010/04/27 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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