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アナログ親爺の八つ当たり

 朝のフレッシュな気分を損なう嫌なものが二つあります。ひとつは朝刊に挟み込まれたスーパーのケバい色彩のチラシ、ひとつは朝のお散歩中に目に入ってしまう井の頭通りの住宅販売会社の下品な看板。どちらも赤やオレンジ、ピンクといった暖色が交錯し、ピンクチラシ紛いのどぎつさに吐き気をもよおします。そんな気持ち悪さはユニクロの店頭も同様で、ケバい暖色中心に色彩の韻律を無視して並べられた様はスーパーのチラシと大差ありませんよ。
 朝の気分を損なうのは色彩だけではありません。たまに乗る通勤電車の中で交錯する体臭や口臭、安手の香水やダウニーの強い香りもたまりませんから、こちらも防衛的に薔薇の香りを振りまく事にしています(マスクにも振り掛けてます!)。最近は香りを流すブティックもありますが、某ランジェリーショップのそれは安っぽくてダメですネ。
 偏見なのかも知れませんが、日々店舗を見たり人と接していると若い人は色彩や香り、造形に鈍感なのではと疑ってしまいます。ファストSPAに並ぶ商品はトレードオフが露骨で完成度や品質が著しく劣るのに、若い人が嬉々として殺到している様は文明の退化を実感させます。大人(アナログ世代)向けの高級ブランドなどで時に見られる美しい色彩やフォルムの韻律も若向けのブランドではまったく無視されており、写真に撮っても絵になりません。最近は新設商業施設を取材しても洗練された陳列がまったく無く、VMDセミナーで使う好例写真が更新出来ず困っています(洗練された好例写真は80年代〜90年代のものが多い)。やはり文明はバブルとともに崩壊したのでしょう。
 私の『デジタル世代退化論』には若い人たちから反発も多いようですが、経済的にも文化的にも恵まれて感性が磨かれたアナログ世代と経済が衰退して何もかもが圧縮されて行ったデジタル世代との間には明らかに感性の落差が存在します。業界はこの事実を正視し、デジタル世代には等身大なトレードオフ商品で対応して低価格のボリュームゾーンビジネスを成功させるべきですし、アナログ文明を支えるセレクトショップなどはもっと感性を磨いて商品開発に注力し、デジタル世代の圧縮平準化された感性を目覚めさせて欲しいものです。
 デジタル音楽や写メ、ファストフードやファストファッションなどのコミック的に圧縮された世界に籠っていては、見えるもの感じるものが限られてしまいます。若者は感性豊かなアナログ文明に謙虚に目を開くべきでしょう。これをアナログ親爺の八つ当たりとして蔑視するのは逃げでしかないと思うのですが・・・・・
 2009/09/24 09:15  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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