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退化する消費
 ファストSPAの馬鹿享けやユニクロやニトリの好調振りを見て何か納得しかねるものがあるのは何故だろうかと長らく思案したところ、ようやく明快な結論に到達しました。それは『‘ボリュームゾーン’消費への退化』だと喝破したのです。
 ‘ボリュームゾーン’とは経済産業省が言うところの成長途上国における中産階級の急速な形成がもたらす大衆消費市場であり、先進国で求められる過剰な機能や付加価値を乗せた高価格品ではなく、それらを削ぎ落としたシンプルな低価格商品が求められているというものです。インドのタタ・モータースが売り出した27万円の“ナノ”などはその典型で、日本のメーカーも途上国市場を拡大するには‘ボリュームゾーン’商品の開発が不可欠だとされます。
 ファストSPAの商品はトレンドデザインという機能に特化して(品質を圧縮して)低価格を実現したものですし、ユニクロやニトリの商品は品質と機能に特化して余分な付加価値を削いだもので、どちらも典型的な‘ボリュームゾーン’商品だと言えましょう。このような‘ボリュームゾーン’商品が急速に市場を拡大しているのは、経済の衰退とデジタルな感性圧縮によってエコ低温体質(少ない消費と付加価値で生きて行ける)に退化したデジタル世代がメジャー化し、消費の付加価値が削げ落ちて市場が途上国化しつつあるからではないでしょうか!
 考えてみれば、昭和30年代の日本でもスバル360やミゼットは“ナノ”と大差ないシンプルな仕様と価格(スバル360は36.5万円だった!)でしたし、洗濯機や冷蔵庫などの白もの家電も機能限定のシンプルなものでした。それが何時の間にか機能や付加価値を満載した高価なものに化けて行ったのは時代のマーケティングが為せる業だったのでしょう。経済の衰退と資源の限界を体感したデジタル世代が本能的に途上時代体質に退化していったのはごく自然な事だと思うのです。
 途上国向けのシンプルな低価格商品が日本国内でも求められる傾向は“無印良品”華やかなりし頃からありましたが、これからは自動車も家電もファッションも急速に‘ボリュームゾーン’化して途上国と同質化していくのでしょう。アパレルの商品企画も根底から考え方を変えるべきなのかも知れませんネ!!
 2009/08/28 09:27  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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