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オイリーボーイになろう!
 ちょっと前の話になりますが、丁度来SSメンズのディレクションテーマ組み上げが終わって『田舎の寂れた商店街のメンズショップの親爺が語る蘊蓄がいいよね』なんて思ってた折りに、某著明セレクトショップがオールデイズ仕様にこだわった親爺アメカジブランドを開発するというのでサンプルを見せてもらいました。でもサンプルを一見して立ち昇るOEM臭にビックリ!加工前とは言え、“ユニクロ”ライクなスタンダード仕様かと見紛う小奇麗な仕上がりで、こだわりまくって醤油で煮染めたような面を期待した向きには大空振りでした。
 「Lightning」や「Free&Easy」に出て来るようなオールデイズアメカジは皆、デットストック風素材や古いミシンを使った50〜60年代の仕様にこだわっており、ヴィンテージ志向の親爺アメカジマーケットを狙うなら、デットストック素材を探しに産地の倉庫を漁ったり古いミシンの活きている縫製工場に分け入ってミシンオイルに塗れたり・・・・・から商品開発が始まるはずなのですが・・・・・前述したセレクトショップは産地や工場に分け入らぬOEMで商品調達しようとしていたのです。
 『てめえら、ふざけんじゃねえ!』と机をひっくり返したくなりましたが、そこは大人の対応。『OEMではそんな味は出ませんよ。自ら産地や工場に分け入るべきですよ』とアドバイスするに留めました。でも後日、その会社のトップとお会いしたついでに『手を汚さない綺麗な仕事ではいい商品は開発出来ませんよ』と釘を刺しておきました。
 ブログ293『悲しい現実』では業界の企画・開発職の待遇劣化を嘆きましたが、企業側の雇用条件というスタンスではなく働く側の手応えというスタンスから言えば、もともとファッション業界はある意味で3Kを楽しんで仕事する面もあったのではないでしょうか。産地や工場に分け入って仕様を追求する仕事は小奇麗では済みませんが、商品の出来栄を見ての達成感も大きいのです。
 商品企画・開発という仕事は生産現場から離れては劣化が避けられません。アパレル分野でも商社やOEM/ODM業者に依存して企画・開発職が生産現場から乖離する傾向が顕著ですが、それが仕様の同質化を招いて個性や味わいを損なっている事は否めません。生産地が中国や南アジアの量産工場にどんどん移転して行く中、ファストファッションとは一線を画したいブランドの企画・開発職には細々と生き残る国内の産地や工場に分け入ってオイリーボーイ/ガールになる決意が求められているのではありませんか!
 2009/07/29 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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