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伊勢丹新宿本店の‘怪’
 日本一の売上を誇る伊勢丹新宿本店には外部からは??と訝られる‘怪’が幾つも白昼鬼行するが、中でも最大の‘怪異’と言うべきは地下二階の存在だろう。混雑と行列で歩くのも辛くなる地下一階の食品フロアからエスカレーターで地下二階へ降りると、そこは混雑とは無縁の別世界が広がる。
 地下が二層ある今日の百貨店なら食品を二層展開するのが需給の現実に見合っていると思うが、これまで「ファッションの伊勢丹」の面子にかけて「BPQC」や「イセタンガール」などファッション関連を試行錯誤し、2012年9月のリモデル以降はナチュラルコスメやヒーリング関連、サプリメントや健康食品、カフェやスパサービスを提供する「ビューティ・アポセカリー」のフロアになっている。そのコンセプト自体は先見性を評価したいが、食品フロアの下に化粧品という‘タブー’の組み合わせを配する合理性があるとは思えない。素直に食品フロアを二層(正確には1.3層強)にすればバラエティを拡充出来るし、顧客に苦痛を強いて来た混雑も多少は解消されるのではないか。それがどれほどの売上増をもたらすか、地下一階と地下二階の販売効率差を知る当事者には自明のはずだ。
 伊勢丹新宿本店の‘怪’はそれだけに止まらない。一階の化粧品売場は今時の都心百貨店としては異例に狭く、インバウンドで盛り上がる他百貨店に猛追され、化粧品売上日本一の座も阪急うめだ本店に奪われたと伝え聞く。2〜4Fの三フロアを婦人ファッションが占めるため、婦人雑貨、アクセサリー&ジュエリー、ハンドバッグまで1Fに犇めき、化粧品を拡げる余地がないのだ。
 販売効率や売上伸び率を考えればナチュラルコスメも加えて1Fの化粧品を拡大し、サプリメントやスパサービスは5Fか6Fに、12年11月のリモデルで1Fに在った婦人靴を2Fに上げたように婦人雑貨は婦人服フロアに組み込んでもよいのではないか。さすれば服ばかりが並んで抑揚を欠く2〜4FのVMDにもメリハリが付いて目線も通るようになる。
 見てくればかり気にする昔ながらのVMDも‘怪’のひとつで、消化仕入れのせいか販売の基本であるフェイシング管理も励行されず、最初から欠品だらけの陳列ゆえに接客中に煩雑にストック探しに走って顧客を待たせる悪しき慣習も改められる気配はない。せっかく社長も替わったのだから、様々の‘怪異’も改められると期待するのは初心に過ぎるだろうか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら

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 2017/11/22 11:41  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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