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次に来るアパレルの危機
 米国ではアパレル・服飾のEC比率が20%に迫ってデパートやアパレルチェーンの閉店が広がり、同分野のEC比率が11%を超えて伸び続ける我が国の業界も‘次は我が身’と身構えざるを得ないが、米国ではプロパー流通を脅かす、もうひとつの勢力が勢いを増している。「オフプライスストア」がそれで、米国アパレル・服飾売上の14%近くを占めるから、プロパー価格ベースでは30%に迫るのではないか。前門のEC、後門のオフプライス流通に挟撃されて細る一方なのが米国のアパレル・服飾店舗販売の実情なのだ。
‘集団自殺’と揶揄されるほど販売不振が極まる我が国アパレル業界も、そんな米国と較べればまだ平和なのかも知れない。何故なら、バーゲンしてもアウトレットに回してもファミリーセールを繰り返しても売れ残ってバッタ屋に放出される14億4400万点(総供給量の52.6%/16年)もの衣料品の大半が国内マーケットに還流せず、24万トンの‘中古衣料’や‘原料資材’となってアジア各国(マレーシアや韓国が多い)に輸出されているからだ。
 米国のように売れ残り在庫の多くがオフプライス業界に流れ国内の店頭やECに還流すればプロパー流通は一段と圧迫され、集団自殺どころか大量絶滅を招きかねない。‘中古衣料’輸出がガス抜きとなってアパレル流通は瀬戸際のバランスを保っているというのが実情ではないか。そんな‘ガス抜き’が働かなかった呉服業界など『流通在庫11年分、箪笥在庫100年分』と揶揄されるほど在庫が溜まり、小売販売額の11.5%(矢野経済)をリユース品が占めて新品販売を圧迫している。
 衣料品のリユースは急拡大していると言ってもB2C/C2C合わせて年間2.4億点(日本リユース業協会)ほどと購入数量で18.4%、金額では3〜4%と推計されるに過ぎないが、これがブランドの放出品(未使用新品で色・サイズも揃う‘packaway’)中心にB2Cの「オフプライスストア」で大量販売されるようになればプロパー流通の受けるダメージは想像に難くない。
 パッキン幾らトン幾らで輸出されて行く‘中古衣料’もきちんと仕分ければ数倍の流通価値に化けるし、再編集VMDと二次流通のスキルを組み合わせればTJXのような巨大企業(3812店舗/年商331.8億ドル/17年1月期)も成り立ってしまう。売れ残り在庫に苦しむアパレル業者にとってはキャッシュに換えてくれる救世主、その反面でプロパー流通を圧迫する悪魔と、両刃の剣を発揮するパワービジネスが我が国でも台頭するのは時間の問題なのではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/11/21 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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