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ファクトリエのショールームを拝見
 11月29日開催のSPAC研究会を控え、EC事業者から店舗事業者まで様々なショールームストアを拝見して歩く中、名高い「ファクトリエ」の銀座ショールームを覗かせてもらった。
 銀座とは言え新橋に近い八丁目の首都高速際の雑居ビルの三階で、開店前の取材だったのでビルのEVホールも暗く、ちょっと腰が引けたが、取材の終わり頃には営業時間となってちらほらお客様も入って来られた。ショールームはモルタル床に白塗装の壁と天井、4000K蛍光灯という事務所仕様に3000Kスポット照明のレールが走る中、ナチュラルなウッドテーブルや鉄パイプハンガーに淡々とサンプルが並ぶ‘ファクトリー・ショールーム’という印象で、ショップ並みにデザインされた「ザ・リラクス・フィッティングルーム」(原宿、明治通り沿いビルの一階)とは好対照。ナチュラルで何処かにトラッドな拘りが匂うサンプルはカテゴリー/ファクトリー別に陳列され、コーナー毎にトルソーでコーディネイト、テーブルで単品のバリエーションを訴求している。
 国内アパレル工場との共同企画による「ファクトリエby○○○」というダブルネーム商品で、製造原価率を50%と定めて価格も工場と協議して決め、在庫リスクを折半する初期生産ロットは工場側が決めて工場側在庫から受注に引き当てていくそうだ。ファクトリエは最終サンプル段階で‘ささげ’の上、サイトにアップして先行受注に務め、生産された商品はファクトリエの志木DCで一括管理して顧客に発送される。顧客からの返品は銀座の東京オフィスに送付してもらい、検品を経て交換や返金の手続きに移る。サイズや風合い、品質などを消費者に確かめて頂くべく、常設ショールーム(銀座、横浜元町、名古屋星ヶ丘、熊本)に加えてポップアップストアを頻繁に巡回している。
 取り組む国内50の工場はダブルネームでトレーサビリティを保証するのみならず、サイトで生産現場の環境やものづくりの拘り、関わる人々まで紹介して地道な‘ブランディング’に務め、顧客の希望者を募って工場の見学ツアーも実施している。
 商品企画は工場側とファクトリエ側の相互の提案で随時に進むため、期限を定めたシーズンコレクションという組み立ては行っていないが、基本的な季節感は意識しているそうだ。随時に進むと言っても資金繰りは必須だから、在庫のコントロールはファクトリエのMD責任者が担って発注数量を制御している。小ロットの売り切りで追加生産も控え目に抑え、期末も含めて値引き販売は行っておらず、残品の焼却処分もしていないそうだ。
 そんな仕組みが何処まで上手く回っているかは外野からは解らないが、MD計画がない以上は産直市場的な緩い枠組みで回すしか無いはずで、顧客と工場の嗜好が共通する規模に留まるのはやむを得ない。米「エバーレーン」「BONOBOS」をベースに作家もの工芸品通販の共感ロジックを加味したビジネスモデルに見えるが、工場に顧客の手応えを実感させて啓蒙し、自身の商品力で食って行ける‘ファクトリーブランド’に育てようというロマンも感じられる。ファクトリーブランドが離陸するには幾つものステップがあって中途で挫折するブランドも少なくないが、その初期段階をサポートする役割は評価に値するのではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/11/14 09:18  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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