« 前へ | Main | 次へ »
セールと在庫コントロール
 アパレルの期末バーゲンは販売不振下で前倒しが進み、未だ後倒しに拘る一部駅ビルなどは販売の実勢から浮き上がって却って混乱を深めているが、様々なセールが氾濫して際限なく前倒しが進む弊害も小さくない。
 そもそも期末バーゲンにせよ期中セールにせよ在庫消化が目的で、期中では在庫コントロール、期末では換金処分の役割が大きい。自社の在庫消化進行だけ見てキックオフや期中値引きでコントロールするのならともかく、周囲の値崩れに巻き込まれ本意ならず値下げに追い込まれては堪ったものではない。期末バーゲンが多少前倒されたりキックオフが乱発されるぐらいなら広範な値崩れには至らないが、大企業が大掛かりな期中セールを仕掛けるとなると話は別で、マイペースでの在庫コントロールも難しくなってしまう。
 イオンは昨年から始めた11月下旬の‘米国式’「ブラックフライデー」セールに加え、今年は11月10日〜17日にECで‘中国式’「独身の日」セールを大々的に開催するそうだ。ECではAmazonが仕掛ける‘米国式’「サイバーマンデー」セール(概ね12月始めの月曜から)が大きいが、「独身の日」はそれより3週間以上も先行する。店頭に犇めくライバルの値下げタイミングを伺うだけでも四苦八苦なのに、ECにまで振り回される現状では余程、明確なストーリーを持って在庫コントロールを仕組まないと意図せぬ値崩れに巻き込まれてロスが肥大しかねない。
 店頭とECが入り乱れてここまで乱売状態になると売れ筋の引っぱりが読めず、在庫を積み上げての勝負はリスクに合わなくなる。売価変更だけでは在庫消化のシナリオが描き切れず、ZARAのような多頻度小ロットMDの一蒔き直流DB(一発全蒔きでDCに補給在庫を残さない)で在庫と売上を平準化させていくしかない。素材背景が近接してロットが小さくリードタイムも短い中国や国内への生産回帰は必然で、QRやオンライン生産(看板システム)のVMIなどサプライチェーンの抜本革新が急がれる。売価変更や店間移動だけで在庫をコントロール出来た‘良き時代’は遠い過去になったと腹を括るべきではないか。11月9日に開催する『バイヤー/MD/DB育成マーチャンダイジング技術革新ゼミ』では最新の現実に対応するMDとDBの連携を徹底して解説したい。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/11/02 09:16  この記事のURL  /  コメント(0)

コメントする
名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク


コメント


« 前へ | Main | 次へ »


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ