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パンストとスカートとMD展開
 10月26日に開催したSPAC月例会「来年度MD展開計画総点検」ではカテゴリー別の家計消費支出からタイプ/ブランド別の売上月指数や月度アイテム構成まで子細に検証して来年度のMD展開政策を提言したが、そのレポートから興味深い傾向をピックアップしてみた。
 衣料消費支出(総務省家計調査、今年度は1〜8月から年計換算、以下同)は今世紀に入っても縮小が止まらず00年比で63.4%まで落ち込んでいるが、その中でも最も落ち込んだアイテムが婦人スカートで00年比31.4%まで落ち込んでいる。スカートの凋落と深く関係しているのがストッキング(うち98%がパンティストッキング)で、スカート以上に落ち込んでいる。
 パンティストッキングの生産数は89年ピークの10.84億点が99年には4.77億点に半減し、05年には2.70億点、10年には1.20億点と釣瓶落としに減少して13年には1.00億点と大底を打ったが、実にピークの11分の一近くまで落ち込んでいる。アパレル不振と言ってもこんなに落ち込んだカテゴリーはないし、呉服の落ち込みさえ同期間では6分の一まで行かない。スカート支出も90年比では6分の一以下まで落ち込んでいるから、スカートとパンティストッキングの凋落は密接に関係しているようだ。
 その要因を考える上で参考になるのが世代別のパンスト比率とスカート比率で、「アツギ株式会社」による15年の調査に拠れば20代は全世代平均よりパンスト着用率が10ポイント以上高く、「脚をきれいに見せたいから」が理由の第一位だったとか。当社の調査でもブランドのボトム売上に占めるスカート比率は「ワーキングガール」(ほぼ20代OL)が45.0%と突出し、トランスキャリア(ほぼ30代)の30.5%、「ミセス」の27.1%を大きく引き離している。
 『脚をきれいに見せたくて』スカートを履く20代に対して30代以上は機能性を重視してパンツ比率が高まる傾向が伺えるが、90年から今日に至る推移にもスカートからパンツへの転換が見て取れる。家計婦人衣料消費支出に占めるスカート比率は90年の13.8%から13年には4.4%まで落ち込み、代わってパンツが6.4%から17.4%へと3倍近く拡大している。トレンドのフェミニン回帰で17年は5.2%までスカートが戻しているものの、パンツシフトという長期的な趨勢は動かない。
 そんなパンツシフトをもたらした最大の要因は女性の就業率向上と少子高齢化で、女性就業率(15〜54才)は90年の57.7%から16年は67.8%まで上昇する一方、女性人口に占める20代比率は90年の13.2%から2015年には9.3%まで減少している。専業主婦のスカート比率が勤労女性より高くなる事は地域特性にも現れており、大都市としては専業主婦率が異例に高い名古屋市の婦人ボトム支出に占めるスカート比率(総務省「家計調査」15年度)は31.9%と全国平均より7.4ポイントも高い。
 来期のMD展開計画を立案するにあたって、トレンドもともかく世代やライフスタイルによるアイテム構成、とりわけ月々のアイテム構成予算を検証する意義は小さくない。月々の売上と在庫の抑揚の組み方次第で消化回転の改善と値引きロスの抑制も図れる。ユニクロやジーユー、ZARAの月々の売上の流れを検証するとそれぞれのMD展開と営業政策の根幹も見えて来る。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/10/26 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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