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分権と集権の匙加減
 多数のブランドを展開している大手アパレルやSPAチェーンでは分権と集権の匙加減が大きく業績を左右する事がある。それはMDやDBはもちろんブランド戦略やカバナンスまで波及する。
 調達の集約を図ればコストが下がり付加価値も高まるが、ブランド間で同質化する弊害が発生する。商社を集約すれば素材やパターンが同質化しがちで、素材を集約すればもろに同質化してしまう。シーズンのトレンド素材などを統一してキャンペーンすれば確かにインパクトはあるが、各ブランドで余程デザインやパターン、カラーを差別化しないと思わぬカニバリが発生しかねない。
 DB(ディストリビューション)でもCMIに徹すればSKU単位の消化効率は上がるが店舗の品揃えバランスが崩れて格差が開きがちで、全社の消化効率が高まるとは限らない。部分的にでもSMIを取り入れれば店舗の活力は高まるが、蒔き切れないSKUや消化効率が落ちるSKUも出て来る。SMIに徹して損益管理や人事管理まで店長に一任する「疑似支配人制」まで行けば店舗の活力は最大化するが、不振在庫が積み上がったりカバナンスの問題が生じたりするリスクも否めない。
 ブランド戦略では分権と集権は複雑に交錯する。各ブランドが自由に好調商品を追いかけると何時の間にか皆が近似してしまい、手酷いカニバリに陥らないとも限らない。トップが旗を振って方向を指し示したり取引先や素材を集約すれば一時は効果があるにせよ、いずれ同質化の罠に嵌ってしまう。分権しても集権しても、誰かが客観的に交通整理しない限り、同質化とカニバリのリスクは避けられない。
 それにはマーケットを世代やテイスト、カテゴリーはもちろん、MD手法や調達手法、販売チャネルや提供方法まで多次元のマトリックスに分類して位置付け数字で検証する仕組みが不可欠だが、自らの感性が突出していると信じて勘と思い込みで突っ走るこのギョーカイでは顧みられる事は極めて稀だ。ゆえに類似した商品やブランドが集中して過剰供給となる一方、『欲しい商品がない』と彷徨う買物難民も大量に発生してしまう。
 当社が毎シーズン、作製している4000ブランドを多重マトリックスで位置付けた「ブランドツリー」、トゥイーンズからシニアまでローカルストリートからグローバルモードまでビジュアルに位置付けた「客層マップ」、両者をクロスしてタイプ/ブランド別の販売成績で位置付けた「マーケット天気図」に多少なりとも関心を持って頂ければ幸いだ。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/10/16 09:20  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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