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トヨタと日産の埋めがたい格差
 無資格従業員による出荷前検査が組織ぐるみで常態化していた事が発覚して大量リコールに追い込まれた日産自動車だが、それは半世紀以上も前から続いていたのかも知れない。「技術の日産」と謳いながらトヨタ車と比べれば品質感に劣り耐久性にも格差があると言われてきたが、やっぱりね〜と思ってしまう。94才になる親父が半世紀以上も前に乗っていたセドリックとクラウンの差を子供心に実感した記憶が蘇るのだ。タクシーの運転手もみんな耐久性の格差を言うよね。
 私の業務上の実感も両社の埋めがたい格差を裏付ける。幾多の商業施設の開発やリモデルに関わり、数百の商圏分析や売上予測を行って来たが、トヨタの工場がある商圏と日産の工場がある(在った)商圏とでは商業施設のポテンシャルがまったく違うのだ。所得水準にも消費支出にも明らかな格差があり、そこに開業した大型商業施設の売上にも少なからず影響している。
 ひとつは立川郊外の日産自動車村山工場跡地に06年11月に開業したイオンモールむさし村山(開業時はダイヤモンドシティ・ミュー)で、想定した客層と実際の来店客にギャップがあって低価格品しか売れず核店舗の武蔵村山三越が09年3月に撤退し、2010年4月までにH&Mなど低価格テナントに入れ替えて売上が急浮上した経緯がある。もうひとつは日産車体跡地に16年10月に開業した三井不動産のららぽーと湘南平塚で、辻堂駅北口のテラスモール湘南とは客層が大きく異なり、やはり高単価テナントは厳しいと聞く。
 その一方、名古屋東部のトヨタのお膝元の新興住宅地に16年12月、開業したイオンモール長久手は絶好調と伝え聞く。長久手市は平均年齢が全国一若く人口増加率も県内一(自然増に限れば日本一)、所得指数も県内一高く急上昇が続き、東洋経済の「住みよさランキング2015」で県内一位、全国二位にランクインするという絵に描いたような“幸せなサバービア”で、街並や住民の暮らし振りはバブル期の「たまプラーザ」やCMの「トヨタウン」を想起させる。
 トヨタと日産は業績以上に下請けや孫請けまで裾野の豊かさが違い、工場が立地する地域の潤いにも大差があると言わざるを得ない。製品も見た目や性能には大差がなくても、下請けや孫請けまでの経営の安定度や部品の摺り合わせ精度の格差が完成度や耐久性に響くであろう事は想像に難くない。トヨタと日産の埋めがたい格差は企業の真の力量は下請けや孫請けまで潤す裾野の豊かさなのだと痛感させる。
 我らギョーカイでも、納入業者を絞り上げて利益を収奪する絶壁型の企業と納入業者もそれなりに潤う富士山型の企業の差は露骨だ。売上が苦しくても取引する企業は選別したいものだ。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/10/13 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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