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誰の為に働くの?
 アパレルチェーン各社の決算書を見ると営業経費の大まかな内訳が記載されている。一番巨額なのが不動産費(支払い賃料や店舗絡みの償却)で、テナント出店チェーンの場合は売上対比で18〜21%も占める。次に大きいのが人件費で同16〜18%を占めるが、不動産費が肥大すると人件費が抑制される傾向が顕著に見られる。
 売上が落ちると値引きロスも肥大して粗利益率が低下し、売上の落ち込みほど家賃は下がらないから不動産費率が上昇してしまう。そこで圧縮がかかるのが人件費で、店長にはパート&バイト人時量の圧縮が指示され、それで吸収出来ないほど売上が苦しくなると社員の昇給ストップがかかる。そこまで行くのは赤字転落寸前になってからと思われるだろうが、上場企業の場合は赤字には遠くても利益計画を達成すべく広範な社員に昇給ストップをかける事がある。
 もちろん長期不振店舗では家賃や最低保証売上水準の切り下げ交渉も行われるが、定期借家契約下では大きな切り下げは難しく、退店に至るケースも多くなる。会社と会社の交渉になる家賃は下方硬直性が強く、会社が個人を評価する給与は上方硬直性が強い。結果、不動産費が人件費を圧迫する事になるのだ。
 テナント出店チェーンでは不動産費が人件費を圧迫する傾向を否めないが、テナントでもサブ核で出店するような大型店や独立店舗の大型店では不動産費率は5〜9%(減価償却費を含む)とテナントチェーンの半分以下で、その分、人件費に回せる余裕が大きくなるはずだが、利益計上などに回って必ずしも給与水準の向上に回るとは限らない。
 ちなみに国内ユニクロの前期決算では不動産費率は7.7%だったが人件費率は11.0%とテナントチェーンより却って低く、その分がお買い得な価格設定と12.8%という営業利益に回っている。人手不足が深刻化するアパレル販売だが、各社の来期予算計画を見ても労働分配率を高める気配は見られない。
 『誰の為に働くのか』考えさせられるが、商業施設デベに家賃を払うために働くのは辛いから、少しでも働く者の給与水準向上に繋がるよう、不動産費率を半減させるべく出店戦略(業態戦略でもある)を根底から再構築すべきではないか。関心を持たれた方はドンキやノードストロムの不動産費率を知って私の話を聞いて欲しい。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/10/03 09:14  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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