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共存共栄の幻想
 米国ではECが急拡大する中、アパレルチェーンの閉店ラッシュが続き、さしものSCデベの収益も陰っているが(大手SCデベ5社の営業利益は6.1%減)、我が国ではアパレルチェーンの閉店ラッシュにもかかわらず大手SCデベ(イオンモールと三井不動産商業施設部門)は最高益を更新し続けている事に違和感を感じざるを得ない。
 米国では遠くない将来、SCの三割が消えるという極端な指摘さえあるが、推計される最大限のテナント閉店が現実になっても米国SC総賃貸面積の2.1%に過ぎないし、アパレルチェーンが総崩れになっても好調な服飾雑貨やビューティ関連(化粧品と美容サービス)、フードサービスやホームエレクトロニクス(本来なら最もECに食われるはずの分野なのに!)の店舗に入れ替わるだけでSCデベが追い詰められる事はない。我が国でも米国同様、服飾雑貨店やビューティ関連店、食物販店やフードサービス、家電量販店に替わるだけで、商業施設デベは痛くも痒くもないのが現実なのだろう。
 00年の規制緩和で定期借家契約が導入されて店舗が流動資産化し、大店立地法が施行されて営業時間が延長されて以来、テナントチェーンはイニシャルコストこそ激減したもののランニングコストが肥大し、定借期限切れの追い出しで営業継続が脅かされ、止まらぬオーバーストアとECへの売上流出で販売効率が低下する(衣料品店の場合、過去三年間のECへの流出による売上減少は年率4.7%)という苦境が続くが、商業施設デベの側は事業機会が広がりテナント入れ替えが効率化したという恩恵に浴するばかりだ。SC経営は「テナントとデベの共存共栄」と言われるが、現実はデベ側の一方的な繁栄になっているのではないか。
 アパレル店の撤退が続いても好調業種に入れ替えればデベの経営は安泰だが、ECが今の勢いで伸びて行けば「主たるECを店舗販売が補完する」という分野が増え、さしもの商業施設デベの経営も陰っていく。幾度指摘しても大半の商業施設デベはオムニチャネル利便に本気で対応しないままだが、ECを拒絶していてはジリ貧を免れない。共存共栄どころか共倒れになりかねない現実を直視し、オムニチャネル時代(まさかEC主体時代?)への対応を急ぐべきだ。
 その要点は1)すべてのECに門戸を開いたお試し・受け取り・修理加工サービス拠点[TBPP]の設置、2)テナントのオムニチャネル販売を規制しない課金システムの確立、3)EC品の店出荷や店受け取り、テザリングに対応する荷受施設と館内回送体制の整備、食品スーパーが入居する場合は4)ドライブスルー・ピックアップラインの設置、の4点ではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/09/27 09:23  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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