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本部仕入れか店仕入れか
 ドラッグコスメやバラエティ雑貨の「プラザ」を運営するスタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイルカンパニー(長い!)は、これまで店舗に任せていた仕入れ権限を順次、本部に集約し、過剰在庫を圧縮して仕入れを効率化するそうだ。小型の「ミニプラ」を含んで85店を直営しているが、基幹の10店舗を含む7割の店舗で店責任者が仕入れを決めており、66年の1号店開業以来、店舗仕入れ体制で来たと言うから驚きだ。
 2ダースまではともかく、それを超えて多店化すれば本部集中仕入れ・DB体制(CMI)のチェーンストアへ体制を切り替えて調達のマス・メリットを追求し、品揃えや売場運用を標準化した上でDB(配分・補給・店間移動)運用するのが小売業界のジョーシキだが、「プラザ」は敢えて?店仕入れ体制(SMI)に拘って来たのだろう。マス・メリットを追求するにはCMIが不可欠だが、個店の特性に対応し各店舗の創意工夫を引き出して成果を問うにはSMIも効果的で、遊べるバラエティ書店の「ヴィレッジヴァンガード」など379店も直営しながら(他にFCが10店舗)未だ店長裁量の各店仕入れだと聞いている。確かに各店長の個性が発揮されて面白い品揃えが出来ているが、その分、不良在庫の滞貨も避け難く、17年5月期の在庫回転は年間1.27回に留まる。「プラザ」がCMIへ転換するのも過剰在庫問題が大きいようで、SMIの大きな欠点と言えよう。
 CMIへ転換する企業の一方、SMIを上手く活用して成長している企業も少なくない。VMIとSMIを組み合わせて5354の店舗網(17年第一四半期末)に商品を供給するウォルマートは一方の究極だが、毎週二回、社内サイトに載せた商品リストからカントリーマネージャーのコントロール下で各店長が選択・発注する「ZARA」のSMIも個店の対応力と達成意欲を引き出して成果を上げている。TOKYO BASEは発注や仕入先の選定はおろか販売スタッフの人事権や損益管理まで踏み込む‘SMIを超えた擬似支配人制’で、人間力を引き出す究極のカバナンスが成長エンジンとなっている。
 CMIは多店舗運営の骨格だが、何処かに個店の対応力と達成意欲を引き出すSMIを組み込む必要がある。カテゴリーが化粧品からプチプラ雑貨まで多岐に渡って調達・補給の背景が多様な「プラザ」ではVMIも必須だから、試行錯誤を経てCMIとVMIとSMIの最適なバランスを見出して行くべきだろう。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/09/15 09:13  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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