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業績が陰ると数字を公表しなくなる?
 業績が陰っているH&Mは7月分から売上前年比の公表を止めてしまったが、業績が陰って来ると数字を隠すようになるのだろうか。
 米国のアパレルチェーンでも09年頃は16社が発表していたが業績の悪化とともに次々と公表を止め、今や4社しか公表していない。もっとも20年前には55社を数えた米国の株式上場アパレルチェーンも倒産や身売りで今や30社を割るまでに減少してしまったのだから、売上を公表するチェーンが減るのも致し方ないが、公表社数の減少はそれ以上のペースだ。
 米国同様にアパレル販売が低迷する我が国でも業績が悪化するチェーンが増えているが、売上前年比を毎月公表するアパレルチェーンの数は減っておらず、業績が陰ったからと言って公表を取り止めるケースは見当たらない。潔いのか無頓着なのか、米国とはIRの考え方が異なるようだ。
 公表しなくても販売状況は取引先などから業界に漏れ伝わるものだし、上場していれば株価はそんな動向に敏感に反応するが、それでは公平なディスクロージャーとならないから‘公表’する事が好ましい。米国では出店契約や取引契約はもちろん雇用契約にまで厳重な守秘義務が謳われるから、会社が公表しない限り販売状況は漏れ伝わり難く(それも建前だが)、業績が落ち込めば公表を止めてしまう会社が多いのだと推察される。
 ‘潔い’我が国とは言え、月毎に公表されるのは会社合計の売上前年比、既存店売上前年比、既存店の客数と客単価の前年比までで(上場チェーンでもパル等5社はそれさえ公表していない)、業態/ブランド別の売上前年比を公表する企業は限られる。ECが伸びても店舗売上が低迷する中、ECと店舗を合算して売上前年比を公表する企業も増えているが、それでは既存店の前年比が見えなくなる。
 何より残念なのは売上の前年比だけで実額が公表されない事で、年間の売上分布(月指数)変化による在庫の流れと損益の変化は掴み難い。四半期決算を繋ぎ合わせて検証すれば大枠は掴めるが、数ヶ月も掌握が遅れてしまう。三越伊勢丹だけは前年比だけでなく主要三店の店別と支店計の総額と部門別売上の実額を公表しているが、今では例外的なケースだ。株式公開企業には‘潔い’ディスクロージャーを期待したいものだ。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/09/13 10:04  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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