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百貨店は需給ギャップの化け物だ
 そごう・西武の相次ぐ閉店や店舗譲渡に‘無為無策’と苦言を呈したが、セントラルバイイングとかオムニチャネル化だとか大仰なプラットフォーム転換の前に、もっと手軽で確実な対策があるようにも思える。それは需給ギャップの解消ではないか。
 百貨店の売場構成は過去のファッション偏重、とりわけ婦人服の肥大によって消費支出のバランスから乖離してしまっている。それが今日の苦境をもたらした大きな要因だと指摘したい。家計消費支出中の百貨店扱い分野に占める衣料品のシェアは7.1%に過ぎないのに、百貨店の衣料品売上シェアはピークの91年の40.6%からは下がったと言え31.7%(16年、以下同)もあるし、家計消費支出では3.7%(下着/レッグウエアを除けば3.1%)に過ぎない婦人服の売上シェアは20.3%もある。その反面、90年には婦人服の四掛け弱に過ぎなかった化粧品支出は婦人服の96.6%に迫り今年は逆転してしまうに違いないが、百貨店の売上シェアは7.3%に留まる。美容サロンやエステなど美容サービス(化粧品市場の6掛規模)まで加えれば、とっくに婦人服支出を抜いている。
 今日の百貨店の典型的なフロア構成は地下に食品、1F〜2Fに化粧品、装身具、靴、バッグ、特選雑貨ブランド、3〜5の三層が婦人服・特選プレタ・ランジェリー、6Fが紳士とスポーツ、7Fが子供服とリビング、8Fが呉服・美術・宝飾・催事場だが、今日の家計消費支出とは隔世の感がある。婦人服関連が2.5〜3フロアも占める反面で消費支出が同規模の化粧品は半フロアもないし、消費支出の50.5%も占める食品は一層に収まるはずもない。坪販売効率も食料品に比べ衣料品は格段に低いし、化粧品や服飾雑貨にも大きく劣る。
 ならば食品を二層にし、化粧品・美容サービスにワンフロア、装身具・靴・バッグ・特選雑貨に1.5フロアを割き、婦人服・特選プレタは1.5フロアに圧縮し、上層階に家電やコモディティSPAを導入すれば売上は大きく伸ばせる。紳士・スポーツのフロアにもメンズ化粧品・理容サービス、時計、趣味雑貨などを加えてアパレルは圧縮したい。圧縮する婦人服・紳士服では人気のないブランドショップを削って手頃な単品平場を復活拡充すべきだ。思い込みやプライドを捨て素直に需要に対応すれば、百貨店はまだまだ頑張って行けるのではないか。
 百貨店に限らず販売不振要因の大半は需給のギャップに在り、売れ残り在庫が積み上がる一方で『買う物がない』『買う店がない』と嘆く‘買物難民’も溢れている。10月13日(金)に開催する「ファッションビジネス再生戦略ゼミ」では百貨店や駅ビル/SCなど商業施設の構成に限らず、ブランド/テナント側のポジショニングやMD政策まで、様々なデータを駆使して需給のギャップを洗い出し、その具体的な解消方法を提示したい。


◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/09/11 10:16  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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