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TOKYO BASEは売れて当然!
 TOKYO BASEは素材で勝負する婦人服オリジナルブランド「シティ」を新たに立ち上げるそうだ。テイストの狙いも適確だが、『小売価格の20%を素材にあて原価率50%のコストパフォーマンスを訴求する』という方針は‘売れて当然’と言うべきだ。原価率50%は同社のオリジナルブランドに共通する方針だが、同社には他にも‘売れて当然’という条件が揃っている。
 アパレル販売の低迷と原価率の切り下げの悪循環にコスト抑制の過大ロット調達も加わって需要に倍する供給が常態化し、バーゲンしてもアウトレットに回してもファミリーセールを繰り返しても過半が売れ残って東南アジアなどに中古衣料として放出され、アパレルの当初売価対比原価率は百貨店では90年代初頭の33%が20%強まで、駅ビルやSCのSPAでも00年の38〜40%が27〜30%に切り下げられ、タイムセール用に16%で調達する大手チェーンさえある。縫製コストはロットの桁を上げない限り切り下げに限界があるからギョーカイは素材コストの切り下げに走り(売価の5〜8%まで落ちたと聞く)、素人目にも解るほど品質が劣化している。
 そんな中、素材に拘って売価の20%をあて開発すれば素人目にもツーラインは上のランクに見える商品に仕上がるから‘売れて当然’だ。当たり前と言えばそれまでだが、売れ残りリスクに保険をかけ非効率な流通コストを上乗せする体質が染み付いたこのギョーカイでは極めて例外的な‘快挙’と言うべきだろう。ファクトリーダイレクトで高原価率のお値打ち品を提供する仕組みはメーカーズシャツ鎌倉に発してパーソナルオーダーのEC事業者に広がっているが、EC比率が35%に迫るとは言えコストの高い店舗小売業が原価率50%のものづくりで利益を確保するのは極めて異例だ。TOKYO BASEにはそれを可能とするノウハウとマネジメントがあるのだろう。その要点は以下の四つではないか。
1)素材調達は先行しても製品企画は引き付けた国内生産でリスクを圧縮。素材はオリジナル化などでロットが大きくなっても、製品は確実に売り切れる小ロットに抑制。
2)今時は少数派になった地方出身のファッション意識の高い20〜30代というニッチを意識した商品企画と適正供給(店舗数と供給ロットの抑制)。
3)販売支援はもちろん資本や人材までサポートして仕入れ先メーカーを育成するという専門店繁栄の原点的戦略の徹底(『日本発ブランドを世界に発信』という社是)。
4)各店長に発注と販売消化、採用と損益の権限と責任を任せるSMIと疑似支配人制で達成意欲を引き出すガバナンスを確立。意欲のある若者に権限を与えて給与水準も高く、意識の高い人材が加速度的に集まっている。
 1)についてはZARAと共通し、2)3)については70年代のブティックビジネスや黎明期のDCビジネスに通ずるものがある。4)についてはフードサービス分野に見られるものだが、沈滞するアパレル業界にあって突出した輝きを放っている。2)を考えれば国内での事業拡大には限界があり、『日本発ブランドを世界に発信』という社是もあって必然的にグローバル展開が進むと思われる。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/09/06 10:11  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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