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H&Mってヤバくね!
 既存店売上を見ても営業利益率を見てもインディテックス社(ZARAが売上の66%を占める)がグングン伸び、7四半期連続して既存店売上が減少して今7月分からは売上前年比の発表も止めてしまったH&M社との格差が広がっている。ZARAは好調なのにH&Mはなぜ苦戦しているのだろうか。
 インディテックス社の既存店売上が13年の103%から14年は105%、15年は108.5%、16年は110%と年々上昇し、17年2〜4月期も108%と好調を維持しているのに対し、H&M社は15年16年と右肩下がりで前年を割り続け17年3〜5月期も推計96%と7四半期間マイナスを続けている。粗利益率も10年の62.9%から16年は55.2%と7.7ポイントも低下、営業経費率も毎年のように肥大して06年から5.7ポイント悪化、営業利益率は07年の23.5%から16年は12.4%と11.1ポイントも低下してインディテックス社の17.2%とは格差が開いてしまった。
 今春四半期末在庫は前年同期比26.9%、前々年同期比では63.2%も積み上がり、年換算した在庫回転は2.76回と前々年同期から1回転近く(0.96回)も減速。前年同期比388店(9.9%)増というハイペースの出店も継続が難しくなっている。その出店もZARAに較べれば荒っぽく、好条件を提示されれば集客の疑わしい商業施設にも少なからず出店している。当社の推計では、郊外SCにおける坪販売効率はZARAの三分の二に届かずGAPをも下回る。
 ファストファッションの両雄と言われながら両社のマーチャンダイジングは大きく異なる。小ロットのひと蒔き売り切りに徹して歩留まり率の高いZARAに対し、低コストに大ロット調達して値引きを繰り返して消化して行くH&Mは歩留まり率が低く、当社の推計ではマークダウンロス率はZARAの倍を超える。それゆえ原価率をZARAより低く抑えざるを得ないから、お値打ち感も怪しくなる。
 引き付けて小ロットで製品化する一方、大ロット(粗い計算だが製品ロットの約6倍)で先行開発するZARAの素材バリューは極めて高く、‘ファストファッション’という範疇を遥かに超えている。今日も6割を欧州とその近辺で生産する製品も自社で裁断し付属を揃えて工場に運び、仕上がり品を回収して自社の物流拠点でプレス仕上げし完成度を高めている。自社スタッフが品質管理に入るとは言え、仕様書発注で外注工場から完成品を調達するH&Mとは‘お値打ち感’に差がつくのも必然なのだろう。
追伸・・・・9月8日朝段階に至っても未だ7月の売上前年比が発表されていないから、H&Mはホントに発表を止めてしまったようだ。米国のアパレルチェーンでも09年頃は16社が発表していたが業績の悪化とともに次々と公表を止め、今や4社しか発表していない。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/09/05 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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