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セクシーはオフトレンド!
 セクシーランジェリーの女王の座に君臨してきたあの「Victoria’s Secret」の人気が米国で急落しているという。昨年後半から陰りが見えていたが、17年上半期(2〜7月)の既存店売上は89%と二桁減に陥った。その理由は米国女性の志向変化を象徴するもので、同時にファッション業界と消費者の擦れ違いも象徴している。
 第一にあげられるのがセクシーさを強調するキャンペーンやデザインが疎まれた事。米国女性もナチュラルでヘルシーなライフスタイルを志向する傾向が強まっており、セクシーなファッションやランジェリーは好まれなくなっている。ヘルシーなボディラインのためには小さな下着が好ましくない事が広く知られるようになった事も影響しているかもしれない。
 第二に‘ブラレット’などアスレジャー対応にも遅れ、「ルルレモン」や「アスリータ」などヨギーブランドやスポーツブランドのアンダーウェアに顧客が流れた事。‘ブラレット’はワイヤーもパットも入っていない締め付け感のないソフトブラで、‘三角ブラ’とか‘スポーツブラ’など楽チンで機能的な付け心地が好まれて急拡大している。これもヘルシーナチュラルなアンチ・セクシー志向の一環と言えよう。
 第三にはアマゾンの低価格ランジェリーに圧迫されてマークダウンが増え価格信頼感を損なった事、第四にはカタログ通販時代からのフルフィルと開発プロセスを引きずってEC対応が遅れた事が指摘される。カタログ通販出身のJクルーやランズエンドも同様に苦闘しているから、カタログ通販の体制もスピードもECとは相容れないものなのだろう。
 ‘セクシー’がオフトレンドになったのは我が国とて同様で、マルキュー系の凋落は止まるところを知らないし、アゲハ系ブランドも沈み込んだままだ。同じキュートモード系でもシルエットがフェミニンなブランドは好調だが、シルエットがセクシーなマルキュー系のブランドは不調が目立つ。ランジェリーショップの売上傾向を見ても、ナチュラル系やフェミニン系は堅調だが、セクシー度が強いほど低迷の度も強い。
 ‘セクシー’のオフトレンド化は日米に共通するから、もしかして世界の先進国?に共通する傾向なのかもしれない。我が国では生産年齢人口も周産期人口も急減しているし、出生率の低下にも歯止めがかからない。異性と付き合わない人も一生、結婚しない人も恐ろしいほど増えている。‘セクシー’がオフトレンドというのも、そんな人類文明の社会的人口調整メカニズムに関係しているとしたら怖いよね。ワンレン・ボディコン・Tバック華やかなりし80年代は遠い昔の‘神話’と成り果てた。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/08/29 09:05  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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