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アパレル売場だけが減っていく
 日経MJの誌上座談会でTSIホールディングス社長の斎藤氏とストライプインターナショナル社長の石川氏が『EC三割、リアル店舗7割が落ち所』と異口同音に発言していたが、多くのアパレル関係者に共通する認識だと思う。既に米国では19%に達し日本でも今年は12%を超えると推計され、日米ともアパレル店舗の閉店ラッシュが加速しているから、ホントに七掛けで落ち止まるのかと疑心暗鬼になる。
 リーマンショック以降、09年から16年のSC総GLA(賃貸面積)増加率は米国では3.4%だったが、我が国SCの総GLAは21.2%も拡大している。この間に米国のテナント販売効率が28.4%、インフレ補正後でも14.7%上昇した一方、我が国では4.5%減少しているから、米国を上回る売場面積増であった事は間違いない。16年こそ減少に転じたが、15年まではその多くを担っていたのがアパレルテナントだった。
 米国でもアマゾン旋風が吹き荒れた16年はさすがにテナント販売効率も1.4%の低下に転じたが、アパレルテナントの販売効率が14年以降、低下する中も服飾雑貨やフードサービスの販売効率が上昇してテナント総体の販売効率を押し上げて来た。ちなみに、16年のレディスアパレル月坪効率は813ドルと07年から13.2%、ファミリーアパレル(カップル含む)も1021ドルと10.1%低下したが、服飾雑貨は1847ドルと9.4%、趣味用品は1762ドルと17.9%、フードサービスは1835ドルと14.7%、スマホの普及などが押し上げた家電は6209ドルと167.4%も伸びている。
 我が国でも販売効率が低下するアパレルテナントを圧縮して服飾雑貨や家電、化粧品や美容サービス、食物販やフードサービスを拡大する商業施設が急増しているが、それは米国も同様だ。好調業種に入れ替えれば、商業施設そのものが衰退したり消滅するケースは喧伝されるほど広がりはしない。実際、アパレル店からデパートまで一万店近い閉店が予測されているが、その総てが現実になっても全米SC総賃貸面積の2.1%に過ぎず、好調業種に入れ替わるだけだ。要はアパレル売場だけが減って行くのだ
 そのアパレル店舗だが、ECが一段と広がって返品フリーのロコンドや「amazon prime wardrobe」、私が提唱するTBPPなどお試しの壁が取り払われて行けば、主たる店舗をECが補完する段階から主たるECを店舗が補完する段階へ移行して店舗はショールーム兼受取・お試し拠点に変質してしまう。元よりリアル店舗は家賃負担も運営人件費も嵩み在庫効率もECに遠く及ばないから、七掛けで歯止めが掛かるとは限らない。EC比率が30%を超えてしまえばANAPのように50%、60%と歯止めが掛からなくなる確率が高い。そうなると米国で現実化しているように店舗とECを合わせた売上も減少していくから、閉店ラッシュは一段と加速して行く事になる。アパレルの店舗販売は七掛けでは踏み止まれないと覚悟すべきかも知れない

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/08/24 10:13  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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