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店は生き残れるのか
 オムニチャネルが店舗小売業を救済する白馬の騎士かと見えたのも一時で、ECの拡大は店舗の存続を脅かす段階にさしかかっている。アパレル・服飾分野のEC比率が20%に迫ってリーマンショック時を上回る閉店・破綻ラッシュが広がる米国のパニックがもはや対岸の火事で済まなくなるのは時間の問題で、00年の規制緩和以降に水膨れしたオーバーストア分がクラッシュするのは避けられない。アパレルチェーンなどテナント小売業や商業施設デベはそんなカタルシス的大量絶滅が迫る情況を認識しているのだろうか。
 売上対比の営業経費率が50%近い百貨店インショップ、同36〜38%というSCや駅ビルのテナント店に対して、年商10億円を超えれば30%、100億円を超えれば24%、1000億円を超えれば18%を切るECのコスト優位性は圧倒的で、『売上高百万ドルを稼ぐのに店舗だと3.5人を要するがECだと0.9人で済む』とゴールドマン・サックスが試算しているほどだ。しかも、多店舗に在庫が分散する店舗販売に対して出荷拠点DCが集約されるECは格段に在庫効率が高く、機会ロスも値引きロスも抑制出来る。
 そんな圧倒的格差に加え、店舗小売業は管理会計スタンスのERPという前世紀の金食いシステムを抱えてオムニチャネルな在庫一元化も24時間オンラインな在庫引き当ても果たせないまま、ECサービス事業者やECプラットフォーマーにオムニチャネル在庫管理システムを丸投げせざるを得ない情況に追い込まれている。収益が悪化する中、自社のシステムをオムニチャネル対応させる巨額投資に踏み切れず、ECという軒先を借りて店舗販売という母屋の在庫管理まで依存してしまう小売業者も珍しくなくなるのではないか。
 アパレルチェーンの多くは『店舗を軸としたオムニチャネル化』という‘建前’を標榜しているものの、店舗の売上減少を埋めるべくECを拡大せざるを得ず、ECの拡大が店舗の売上を減少させるというカニバリを自覚しつつも目を瞑って突っ走っている情況だ。本音では、もはや店舗販売に見切りを付けているのかも知れない。各社のEC拡大競争が店舗販売の加速度的凋落を招く事は避けられず、米国並みの閉店・破綻ラッシュが目前に迫っている。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/07/27 11:49  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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