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「夢見る時」が過ぎて
 先週金曜5月26日の日経MJは『読み違えたターゲット』と見出して昨年開業の「ニュウマン」と「東急プラザ銀座」の苦戦を取り上げていたが、ターゲットの読み違えももちろん幻影と現実のギャップも大きかったように思われる。
 両施設に限らず近年は実績ある大手デベによる郊外大型SCでも大空振りが頻発しており、とりわけエンターテイメントを集客の目玉にして時間消費を打ち上げた施設の苦戦が目立つ。ECが拡大する中、リアルの商業施設としてはECにはないエンターテイメントや‘コト’な体験消費で差別化しようという意図があったのだろうが、それが却って来店客のリアルな利便を損なって売上が伴わないというスレ違いが生じている。
 都心の注目施設も郊外の大型SCも電車や車でわざわざ出向いて行かなければならない‘ハンディ’を否めず、時間もお金も使って出かける甲斐のあるリアルな御利益を欠いては安定した売上は望めない。EC以上にリアルな消費利便が揃わなければ、わざわざ出かける甲斐がないのに、エンターテイメントだ‘コト’な体験消費だ、ファッションだラグジュアリーだと打ち上げられては、当座の物見遊山が一巡すれば客が引いてしまうのは必然だ。
 イリュージョン(幻影)は束の間の幻であって日々の利便に応えるソリューション(現実的解決)には繋がりにくい。都心から郊外やローカル、大商圏施設から日常の近隣施設まで業績の明暗を見ていると、大商圏から近隣へ、夢見るイリュージョンから生活直結のソリューションへ、消費は確実に変質している。伸びているのは食物販や手軽なフードサービス、HBC関連ばかりで、家計消費支出を見てもエンゲル係数とビューティ係数が伸びる一方、ファッション係数は凋落の一途を辿っている。少子高齢化と財政の悪化で文明が衰退して行く今日、もはや‘夢見る時’ではないのだろう。
 ギョーカイは未だイリュージョンを売りたいのかも知れないが、生活者の現実はもはやそれを受け入れる情況にない。ならばギョーカイの経営もイリュージョンからソリューションへと急転回せざるを得ない。次々と表面化する経営陣の交代はそれを痛感させる。顧客のリアルな利便に応える地道なソリューションこそ業績改善への最短コースなのだとギョーカイもようやく気付いたのだろうか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/05/30 09:26  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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