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CMIかSMIかVMIか?
 怪しい略号を並べて煙に巻く訳ではないが、‘MI’はManaged Inventryの略、‘C’はCentral、‘S’はStore、‘V’はVendorの略で、要は誰が配分・補給の数入れをしているのか、という根源的な問いかけをしているのだ。
 店舗販売が低迷する中、傾斜配分すれば不振店がさらに落ち込み、頼みのECに力を入れれば傾斜配分が極まって下位店舗を一段と追い詰めてしまう。店舗とEC、好調店と不振店、自社サイトとモールサイトの狭間でDB(Distributor)が頭を抱える実情は想像に難くないが、DBにすべての配分・補給責務を問うのも偏った方法ではないか。Distributionには本部のDBやバイヤーが一方通行に配分・補給するCMIだけでなく、店舗やエリアの意向で修正したり数入れ発注させるSMI、販売と生産を直結すべく納入業者に数入れを任せるVMIという方法もある
 我が国アパレルチェーンの大半はCMIで、店舗はお仕着せの品揃えを販売するだけという一方通行になりがちだが、これでは店舗に達成責任を問い難く、創意や意欲を引き出すのも難しい。欧米のチェーンもPOSベースの似たようなCMIだと思われるかも知れないが、それはメインフレームに情報が集中していた前世紀のお話で、クラウドベースのネットワークで動く今日では‘個店’や‘個人’のスキルと成果を問う双方向型に変わっている。
 おそらく一番早かったのはウォルマートの「カテゴリーキャップテン制」で、90年代の衛星通信時代から各カテゴリーのベンダーが各地の‘Broker’も使って数入れを代行し、それを全米数千店舗のカテゴリー担当店員がハンディ端末で確認し陳列フェイス量と照合して訂正数量を打ち込むという、VMIとSMIを実現していた。そんな事を蒸し返すのは、INDITEXのDBガバナンスがSMIに徹しているからだ。
 ZARAなどINDITEX各業態では本部の投入ラインナップを週2回社内サイトに上げて各店舗が数量発注するシステムで、販売消化の責任と成果を問うDBカバナンスを確立している。それゆえプロパー販売期間中は店間移動せず、EC向けローカルDC(フルフィルメントセンター)の在庫と店舗在庫の融通もしていない
 我が国では店舗向け配分・補給も店舗とECの在庫融通もCMIな全体最適が優先され、‘個店’や‘個人’の権限と責任が極めて曖昧で、個人の権限と責任に立脚する欧米企業とは根本的にガバナンスが異なる。『欧米が正しい』と言うのではなく、『本部と店舗の双方向なコミュニケーションと責任分担なくしては店舗販売の活性化は望めない』と言いたいのだ。
 ECへと草木もなびく風潮下で店舗販売が衰退する今日、SMIに象徴されるDBのみならず、本部と店舗のすべてのコミュニケーションを見直し、店舗の創意と意欲を引き出すガバナンスの確立が急がれる。25日(木)に開催するSPAC研究会『消化歩留まり最大化へのMD&DB総研究』では根底からの‘革命’を提じたい。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/05/22 09:20  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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