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EC比率の限界は?
 店舗販売の凋落が加速する中、ギョーカイは挙ってEC拡大に走っているが、その行く末はどうなるのだろうか。ECに圧迫される店舗小売業が‘救世主’と頼ったオムニチャネルも米国では店舗販売の凋落を止められず、EC比率を高めただけ店舗販売が減少して閉店ラッシュを招くというジレンマに陥っている。
 EC比率を29%に伸ばしたニーマンマーカスは既存店売上が95.9に落ちて全社売上も97.1と水面下に沈んで赤字に転落し、オムニチャネルの言い出しっぺであるメイシーズは既存店売上も全社売上も二期連続して前年を割って大量閉店に追い込まれている。EC比率を22.2%に伸ばしたノードストロムも既存店売上がマイナスに転じ、収益率が急激に低下している(いずれも最新の16年度決算)。ECを拡大して来たギャップやアバクロにしても、ブランド人気が低迷する中ではECが伸びただけ店舗販売が減少するというジレンマに苦しんでいる。
 オムニチャネルは店舗とECを一元化して顧客に利便を、企業に販売チャンスと在庫効率/経営効率改善のメリットをもたらすが、メジャーなブランドにとっては売上のパイ拡大を約束するものではない。EC比率が一定段階まで達すれば、ECに売上が流れただけ店舗販売が減少するようになり、オムニチャネル効果は剥げ落ちてしまう。数百億円以上の売上規模なら、その臨界点は20%を超えたあたりにあるのかも知れない。百億円未満のブランドでも30%、40%となれば店舗売上が急落するケースも見られるから、EC拡大には限界があると見るべきだ。
 ECは流通システムのひとつであり、店舗販売より効率的ではあっても、O2Oな送客効果は得られても、売上のパイそのものを増幅するマジックではない。コンテンツたるMDの魅力を高め、店舗での実体験で顧客を拡げない限り、ブランド総体のマーケットは広がらないのだ。
 ECに注力するあまり店舗販売が疎かにされれば、オムニチャネルの御利益は剥げ落ちてしまう。残念ながら、このギョーカイはオムニチャネルの本質を理解していない。オーバーストアの集団自殺の次はオーバーECによる集団自殺となるのだろうか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/04/27 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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