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コンビニからTBPPへ
 ECが拡大する中、コンビニ受け取りも増えているが、コンビニの限られたレジ裏スペースやバイト君の作業量を考えれば‘限界’が近づいているのではないか。
 細々とした商品の精算やレンジ操作に様々な料金の支払いや荷物の配送委託が挟まるだけでレジ待ち列が出来てしまう現状を見る限り、通販商品の受け取りが急増すればパンクは目に見えている。レジ裏や後方のストックスペースにも限界があるし、いちいち後方へ荷物探しに抜けてはレジがストップしてしまう。ましてや今後、急速に広がると見られる「TBPP」(Try Buy Pickup Point 中身を確認したり試着してから購入や返品が出来る受け取り拠点で私の造語)はもっとスペースと人手を要するから、いずれECのラストワンマイル拠点サービスはコンビニの枠を超えてしまう。オムニチャネルサービスの多様化と取扱量の拡大に返品率の上昇が加わればコンビニのパンクは避けられず、遠からず「TBPP」専門店が独立したビジネスになると思われる。
 「TBPP」は顧客利便のみならず、ECなど通販事業者にとっても多大なメリットが期待される。カタログ通販の購買慣習がECに受け継がれた欧州では返品率が極めて高く、アパレルで三割、靴では四割を超えるケースもある。サイズや色柄を複数送らせて選択する消費者が多いためで、日本でも『お客様都合の返品可』を謳うとアパレルで10%、靴では30%を超える例が見られる。
 返品率もともかく、問題は返品された商品の再販売が可能かどうかで、顧客に返品作業を任せては再販可能状態を確保するのが難しい。試着してから買う「TBPP」ならマニュアルに基づいて専門スタッフが返品作業をするから、ほぼ100%再販可能な状態で戻って来る。通販業者にとっては手数料を支払っても割が合うのだ。消費者にしても、面倒な再梱包や返品手続きをしなくても済むし、ファッションECモールの直営「TBPP」などでは専門スタッフのフィッティングアドバイスやお直しサービスも受けられる。そんな‘付加価値’をコンビニに求めるのはスペース的にも人員的にもスキル的にも無理があり過ぎる。
 「TBPP」専門店には幾つかのアプローチが考えられる。最もストレートなのはアマゾンやスタートトゥデイがショールーム兼「TBPP」として直営するもの、あるいはコンビニのパンクで困る宅配会社が自ら設けるもので、ヤマト運輸はSCなど商業施設内に多店化している「宅急便サービスカウンター」を機能拡張すればよい。家電の設置・設定・修理まで代行する部隊を抱えているのだから、衣料品や靴のフィッティングや修理加工まで手掛けてもまったく不思議は無い。スペースに余裕があるロードサイドでは紳士服店やジーンズカジュアル店はもちろん、ブックストアやCDレンタル店なども挙って進出するだろう。
 消費者にも通販業者にも宅配業社にも三方よしのビジネスだから、全国の「TBPP」拠点は遠からず万を超え、コンビニとは別途のオムニチャネルサービス拠点として消費生活に定着するに違いない。コンビニに匹敵する広がりが期待されるとなればビジネスチャンスもコンビニに迫るのではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/03/29 09:16  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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