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店舗販売は何処へ行く
 衣料・服飾関連のEC流通シェアが15年で17.6%(同年の我が国は9.04%)に達したと推計される米国ではオムニチャネルに出遅れた百貨店やアパレルチェーンの大量閉店や経営破綻が雪崩打つように広がって‘大量絶滅’の様相を呈しているが、今週30日(木曜)の午後に開催するSPAC3月例会「最新オムニチャネル戦略総研究 店舗・EC一体の顧客最適を求めて」の検証と提言は一時代を画するものになるかも知れない。
 オムニチャネル関連ではAI絡みのハイテクばかりが注目されるが、本質的な命題は『ECがメジャー化する中で店舗販売はどうなるのか』に尽きる。衣料・服飾関連のEC流通シェアが二桁に乗る中、店舗販売にはEC並みの利便が、ECには店舗販売並みのサービスが求められるのは必然で、店舗におけるEC並みの在庫検索やパーソナルなAI対応、EC商品のお試しや受け取り・返品はもちろん、ECにも店舗並みの自在なお試しと返品が求められるようになる。
 今の所、『買ってから選ぶ』を謳うロコンドなどを例外として返品率は最大10%に収まっているが、カタログ通販時代からの購買慣習を引き継ぐ欧州では20〜30%の返品が一般的で、ECが店舗販売と並ぶ主要な購買手段となれば日本でも大差ない返品率となるのは時間の問題と思われる。返品率もともかく経営的には返品のコンディションが再販売可能かどうかが重要で、今回のメンバーアンケートでは平均13%が‘再販売不能’と回答されていた。
 ECと店舗が一体で等しい便宜とサービスが求められる今後、システム的には対応出来てもオペレーションの煩雑さと運用コスト、人事考課の軋轢で行き詰まるリスクは想像に難くない。‘オムニチャネル’の言い出しっぺの一人であるメイシーズの蹉跌はそんな事情を象徴するものだ。今回のメンバーアンケートでも、店舗スタッフの投稿に起因する売上にインセンティブを付与しているのは三社だけだった。
 オムニチャネル化で先行する企業さえ対応が難しいのに、ラッダイトに拒絶して来た多くの百貨店や商業施設が置き去られるのは火を見るよりも明らかで、‘大量絶滅による自然淘汰’という米国で始まっている悲劇的な結末が予測される。
 メンバー企業の詳細なアンケートに日米欧の最新状況を加えて検証し、EC・店舗販売の両面から具体的な対応を提言する今回のSPACはある意味‘衝撃的’かも知れない。知らなければ‘茹で蛙’を決め込めるが、知ってしまえば必死に走らざるを得ない。どちらもお好みだが、生き残るには知って走るしかあるまい。明日、明後日と、このブログでレポートの断片を紹介して行きたい。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/03/27 09:18  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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