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百貨店からOPSへ
 我が国の百貨店は衣料品販売の衰退で崩れ落ちるようにシェアを失って来たが、それは米国のデパートメントストアとて同様だ。
 衣料品・身の回り品・化粧品を主体とする米国デパートメントストアと比較すべく我が国百貨店の売上も衣料品・身の回り品・化粧品の合計で見れば、92年から16年の四半世紀で我が国百貨店の三部門合計売上が62.4%(物価修正後で59.3%)に縮小した一方、同期間に米国デパート/PDSの売上は名目こそ12%の減少に収まったが物価修正した実質は51.4%とほぼ半減しており、百貨店の凋落は我が国より激しかった。
 問題は減少した売上が何処に流れたかだが、EC衣料品売上は日米とも遡れる統計が存在せず、衣料品専門店の売上にもEC売上が含まれるため、店舗小売業間の移動に留めて08年〜16年の変化を見た。
 それに拠れば、我が国では百貨店と量販店でほぼ1兆2000億円減少して衣料品専門店(チェーン店も専門店のECも含む)が3240億円増えたが、これらの合計売上は8749億円減少している。対して米国ではデパート/PDSの売上が462億ドル減少してアパレルSSトップ27社売上が153.4億ドル、OPSトップ4社売上が279億ドル増え、これらの合計は29.6億ドルの微減に収まっている。
 我が国では衣料品専門店とそのECに全体の2.6%が流れたが全体売上は7.0%減少し、米国ではアパレルSSに5.3%、OPSに9.6%が流れ、合計売上は1%強の微減に留まっている。OPS(オフプライスストアは他社ブランド仕入れの値引き処分店で、自社ブランドを値引き処分するアウトレットストアと区別される)は米国に在って我が国に存在しない巨大カテゴリーで、値引き販売を求めてデパートから流出する消費の受け皿となっている。逆に言えば、我が国には受け皿の役割を果たすOPSが存在しないから、プロパー店頭が価格崩壊に瀕し、衣料品市場が萎縮しているとも取れる。
 分母が違うから粗い計算になるが、7%と1%の差だけ我が国にOPS市場が潜在しているとすれば、その規模は7000億円強と推計される。それはセレクトSPA市場の1.5倍にも及ぶ。プロパー店舗が価格崩壊に瀕する今日、OPSがメジャーな販路となってガス抜きを担うべきかも知れない。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/02/23 09:25  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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