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‘クリエイション’の三位一体
 長いギョーカイ人生の中でマーケティングやマネジメント、MDやDB、VMDや店舗運営に関わる事が多かったが、‘クリエイション’と無縁だった訳でもない。DCブランドブーム期にはコレクションの構成やサンプルチェックに関わった事もあるし、誰もが知る世界的著名デザイナーのスタイル画からMDを組む仕事を手伝った事もある。実家は何人かのデザイナー先生方と数十人の縫い子さんを抱えた洋装店だったから、クチュール的な洋服作りのプロセスを知らない訳でもない。そんなキャリアを経て、‘クリエイション’とはデザイン・素材・パターンの三位一体だと思うようになった。
 そんなのは当たり前で、わざわざ強調するほどの事でもないが、‘クリエイション’がデザインに偏って素材と噛み合っていないケース、素材開発に拘ってもデザインに上手く繋がっていないケースがあまりに多い。コンサバな商品ではデザイン・素材・パターンのマッチングは洗練度の差はあっても破綻はあまり見かけないが、デザイン性が強くなると素材の物性がデザインと噛み合わず、よほど巧緻なパターンに仕上げないと着こなしが難しくなったり見た目の完成度も低くなってしまう。
 デザインから入るか素材から入るかはともかく、デザインと素材の物性をデリケートに噛み合わせるのがパターンだが、このギョーカイではあまりに軽視されている。商社OEMなどでは同じデザインなら素材が変わってもパターンを使い回す事が常套化しているようだが、厚みや打ち込み、張り感や落ち感、伸縮性や捻れ特性が異なればパターンを修正する必要がある。それは裏地の選択も同様だ。
 長く安定した人気を保っているブランドほどデザイナーとパタンナーの結びつきが強く、デザイン・素材・パターン三位一体の完成度が顧客の信頼を勝ち得ている。‘クリエイション’がデザインや素材に偏って軽視されがちなパターンだが、三位一体の完成度を左右するキーテクノロジーとして適正に評価されるべきだ。
 パタンナーはアパレル業界で販売員に次いで年収が低く、キャリアを積んでも年収が伸びず、しかも年々、給与水準が低下している。建前でも助成金欲しさでもなく‘クリエイション’が本当に重要だと思うなら、三位一体の完成度を左右するパタンナーにもっと報いるべきではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/02/22 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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