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「問屋無用論」は狼少年だった?
 W/R比率の裏腹」でSPAという見せかけの垂直統合の実態はバッチな水平分業であって流通の効率化をもたらさなかったと指摘したが、アパレル流通における‘中抜き’だけは進んだ。流通における‘中抜き’とは「問屋無用論」に他ならないが、この四半世紀の‘中抜き’進行が流通の効率化をもたらさなかったという事は『問屋は有用だった』と証明した事になるのだろうか。
 流通革命が喧しく議論された60年代に盛り上がった「問屋無用論」は米国流通業界への誤解から生じたものと思われる。我が国の「問屋」は商物一体の事業形態で在庫を抱えて小売店まで配送していたが、米国流通業界では「問屋」に類似した在庫保管機能と配送機能を有する「Distributor」の他に在庫も配送機能も持たず営業と棚割や数入れといったリテールサービスを提供する「Broker」という事業形態があって、メーカーやチェーン店が使い分けていた。必要に応じて商物分離のリテールサービスを選択できる流通慣行を見て『日本的な問屋は不要だ』と決めつけてしまったのではないか。
 実は今日でも「問屋」は日米ともメジャーに流通を担っており、むしろ役割を深めつつある。米国の大手SMチェーンではラック単位に「Broker」に任せてslotting feeを取る‘棚貸し’が少なくないし、ウォルマートのカテゴリーキャップテン制は主力ベンダー/メーカーに棚割と数入れを委任する「Broker」型VMIだ。日本でもグロサリー食品や肌着・レッグウェアなどのパッケージ・ガーメントではVMIが主流で、リテーラー側のバイヤーが棚割や数入れを行うケースの方がマイナーだ。
 結果としての流通効率(建て値消化率や歩留まり率)は生産や調達をコントロール出来るメーカーやベンダーが数入れや補充を担うVMIの方が格段に優れており、バッチな水平分業で在庫を売り減らすSPAが‘価格崩壊’を招いた衣料品業界は抜本からの改革が問われている。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/12/22 09:26  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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