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アウェイで勝てない百貨店
 「ルクアイーレ」に残った三つの伊勢丹コーナーが来年一月末で営業を終了し、大阪駅の伊勢丹はさらに小さくなる。地下二階の「イセタンフードホール」、地下一階の「イセタンシューズ&バッグス」は営業を終了、「イセタンアクセサリーズ」は4Fの「イセタンクローゼット」に統合され、「イセタンコスメティクス」など1〜4Fに散在する売場は今後も残る。
 鳴り物入りで11年5月に開業した「JR大阪三越伊勢丹」は阪急うめだ本店など地元百貨店に阻まれて思い通りのブランドが揃わず、大阪人にとっては買い難い編集売場も災いしてか業績が低迷し、14年7月に10階と地下二層を除いて閉店。15年4月2日に百貨店・専門店複合商業施設「ルクアイーレ」として再開業した中に8つの売場が継承されたが、その存続も難しいという事なのだろうか。 
 「JR大阪三越伊勢丹」が短期間で行き詰まった主要因は‘個店帳合’というブランド流通慣行に在り、三越伊勢丹に限らず、如何にホーム商圏で隆盛を誇る百貨店でも他百貨店が一番店のアウェイ商圏では有力ブランドが揃わず、手も足も出ないというのが現実なのだ。
 百貨店流通におけるブランド商材の大半は消化仕入れで個店毎の取引となるのに加え、買取商品でも別注品や品番買い切りでない限り個店毎の取引となって店舗間の移動が制約され、アウェイの店には揃わないのだ。ゆえに商圏毎に一番店が有力ブランドを総取りする結果となり、二番店三番店はそのおこぼれで品揃えする事を強いられる。
 大手百貨店と言えども専門店チェーンでは当たり前のセントラルバイイングと多店舗ディストリビューションの体制がなく、ロット買取して機動的な店間移動や売価変更で消化を図る事が出来ないため、販売効率の低い郊外店や地方店の維持が難しい。ゆえに消費の水位が下がったり競合が厳しくなると売上が落ち込み、いとも簡単に閉店に追いやられてしまう。一見は多店舗を運営していても実態はまったくの支店経営であり、西武百貨店や高島屋を除けばチェーンとしての組織調達力は皆無と言って良い。
 大手百貨店がこんな体たらくではアウェイの都市店舗はもちろん郊外店や地方店の閉店が止まらず、地方や郊外ではブランド買物難民のネット依存が高まり、百貨店流通が加速度的に縮小してブランドビジネスも共倒れに追い込まれる。数年を経ずして『ブランドはネットで買うもの』という購買慣習が定着し、都心の百貨店さえ物見遊山のショールームと化すのかも知れない。
 そんな閉塞情況を突き破るのは別格の御利益のあるブランドモールサイトか、SPA化の行き過ぎを反省して原点回帰したセレクトチェーンか、はたまたグローバルなセントラルバイイング体制を確立した外資デパートチェーンなのだろうか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/11/29 09:15  この記事のURL  /  コメント(1)

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コメント

今日の話は、その通りですね。でもアウェイでの商売を無視しすぎですね。新潟出店時は、オープン3ヶ月以上前から掃除部隊を店長自らやったし、京都も老舗順番の挨拶周りをやり直したしですね。大阪は、消費者自身が東京への対抗意識があります。売り場作りも「何気取ってるの」の売り場作りでした。百貨店のお得意様(大阪人)がわざわざ新宿で買う理由があります。VPや店内ブランドでなくね。だから、今も三越本店・伊勢丹新宿店に地方のお得意様がいます。その地方に行ったら壁を越えなくてだめです。つまり大阪ならクダケタ大阪らしさや大量お買い上げの値引きが必要でしたね。お得意様の奥様や子供にそのサービスが必要ですよね。地元百貨店より地元らしさを何処で出すかですね。沢山の人が働いて解っているのですが、TOP人の人達が地元密着をしっかりしないとだと 思います。 いかがでしょうか?小売様は大変ですね。
Posted by:中野 彰一  at 2016年11月29日(火) 12:38


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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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