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名古屋マーケットは異色!
 テレビ愛知の「サンデージャーナル」というニュース番組にスタジオゲストとして出演する機会があって名古屋市場の特色を改めて検証したところ、結構面白いデータが次々と出てきた。『勢力図が変わる!?ナゴヤの“百貨店”新時代へ』と銘打った番組は11月27日(日)15時〜16時に放映されたので、中京地区の方はご覧になったかもしれない。
 名古屋地区は来春に開業する「タカシマヤ ゲートタワーモール」や12月9日に開業する「イオンモール長久手」など商業施設の開発企画に関わって来たので商圏特性には通じているつもりだったが、調べてみると「なるほど」を超えた「びっくり」な特徴も次々に出てきた。以下は、その一例だ。
1)名古屋人は始末屋で百貨店でも値切る
 何処でも値切る大阪人には負けるだろうが、実際は『一応は言ってみる』という程度のようで、欲しい品があるとネットはもちろん外商ルートからファミリーセールまで安値を探す最近の東京人の方がせこいのかも知れない。東京地区百貨店と名古屋地区百貨店の売上月指数からバーゲン依存度の差を推計してみたが、秋冬期で0.8ポイント、春夏期では0.4ポイントと確かに名古屋地区の方が高かったが、その差は誤差の範囲だ。
2)名古屋では奥様は使う人ご主人は稼ぐ人
 女性の社会進出が進んで共稼ぎが当たり前の東京地区に比べ、名古屋地区は未だ『ご主人が稼いで奥様は家庭を守る?』といった専業主婦比率が高いが、それが百貨店の婦人服売上に対する紳士服売上の比率に現れている。
 婦人服売上対比紳士服売上比率は東京区部が44.7%と半分近いのに対し、十大都市は35.0%、全国平均は32.7%とローカルほど低い傾向が見られるが、名古屋地区は28.9%と十大都市より6.1ポイント、東京区部より15.8ポイントも低い。女性の社会進出が進むほど婦人服の需要は高まるとされて来たが、このデータから見る限り現実はまったく逆で、専業主婦比率が高いほど需要が大きいと見るべきかも知れない。名古屋は大都会にも拘らず専業主婦比率が高いのか女性の家計支出権力が強いのかだが、『名古屋男の所得水準は十大都市で抜けて高く共稼ぎの必要度が低いのです!』と説明される現実はあまりにシリアスだ。
3)名古屋女性はいつまでも若々しく装う
 婦人ボトムのスカート比率はヤング〜OL層が半分前後と最も高く、キャリア、ミセスと年齢が上がるにつれてパンツ比率が高まっていくが(11月21日の「OLのスカート比率はなぜ高い」)、名古屋地区だけはこのトレンドがあてはまらない。年齢を重ねても若々しくフェミニンに装い、娘と服を共有するミセスも多いからだ。街行く女性を眺めていると確かにそんな印象を受けるが、実は統計的にも実証される。
 総務庁「家計調査」(15年度)における婦人ボトム支出に占めるスカート比率は全国平均で24.5%、東京区部では28.6%だが、名古屋市では31.9%と跳ね上がる。名古屋市のスカート比率はOL層の多い東京区部より3.3ポイント、全国平均より7.4ポイントも高いのだ。女性美アピール志向が強いほどスカート比率が高く、機能性要求が高まるほどパンツ比率が高まると考えられるから、名古屋女性は他都市のように生活に追われて機能性に流れず、年齢を重ねても女性的魅力を大切にしている(その余裕がある)と見るべきだろう。
 名古屋マーケットに突っ込んで行くと、マーケティングの常識がいかに怪しいか痛感させられる。ましてやファッション屋のマーケティング感覚など‘幻想’か‘思い込み’でしかないのだろう。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/11/28 10:18  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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