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すべての元凶は作り過ぎ!!
 衣料消費の絶不調を説明するのに上っ面の外野視点からシリアスな内野視点まで幾らでも並べ挙げる事が出来ようが、究極の回答は「作り過ぎ」「供給過剰」に尽きる。
 9月21日のこのブログで『衣料品は毎年、半分が売れ残る』として、四半世紀で供給量が2.33倍になったのに消費量は18%しか伸びず、最終消化率が96.5%から48.9%に激落したと指摘し、10月13日には『きものギョーカイの二の舞か』として、市場規模が6分の一以下に萎縮して流通在庫が10年分以上、たんす在庫が100年分以上も積み上がってしまったきものギョーカイと大差ない狂気に近づいている、と警鐘を鳴らしたが、これらはすべて事実なのだ。
 すべての元凶は需給の現実を正視しない過剰供給に在るのは明らかだが、ギョーカイは何故に無謀な過剰供給を続けてしまうのだろうか。
 90年代、00年代、10年代で多少は状況が違うが、基本的な構図は共通している。すなわち、生産コストを圧縮すべく国内⇒中国⇒南アジアと生産地を移転して量産規模が大きくなる一方、国内市場の競合激化と過剰供給で販売規模は逆に縮小方向に向かい、そのギャップが加速度的に開いていったのに、コスト上昇を恐れて量産規模を絞り込む事が出来なかったのだ。
 一般論だが、国内工場が数人〜数十人規模の熟練多能工によるセミ・セル生産方式で数十枚〜数百枚の小ロットに対応するのに対し、中国の工場では数百人規模の半熟練単能工による分業生産方式で数千枚〜数万枚の中ロットに対応、南アジアの大規模工場では数千人規模の非熟練単能工による細分化された分業生産方式で数十万枚〜数百万枚の大ロットに対応する。コストを下げるために生産地を移転しては生産ロットの桁が跳ね上がってしまうが、販売規模はせいぜい数パーセント〜数十%かしか伸びず、残ると解っていても大量発注しているのが現実なのだ。
 そのギャップをファミリーセールやアウトレットで埋め、それでも残れば二次流通業者(いわゆるバッタ屋さんです)に売り飛ばせばよいと考えてしまうのは、消費者が知ったら怒ってしまうほど調達原価率が切り詰められているからだ。百貨店アパレルで24〜25%、駅ビルやSCのSPAで27〜35%、タイムセールなどを乱発するSPAでは18%程度という実情は、それだけで価格に見合わない品質を推察させるが、それがまた販売不振を深めているのは間違いないだろう。
 問題の解決法は明確だ。実際の販売規模に即して量産規模を絞り込むべきなのだ。南アジア⇒中国⇒国内と逆行すれば量産ロットの桁が落ち、リードタイムも物流期間も短くなってリスクが小さくなる。その分、コストは上がるが、歩留まり率が高まれば同一価格でも粗利益率は維持出来る。中国沿海部や国内の熟練した工場なら小ロットのQR生産も可能だから、歩留まり率はさらに高くなる。
 もっと徹底して歩留まり率を高めたければアイテム毎に工場を定めて生産仕様を標準化し、デルやトヨタのような販売進行と連動するオンライン生産で需給ギャップをゼロに近づけて行けばよい。さすれば歩留まり率は限りなく100%に近づいて行くから、値入れ率=粗利益率というマジックが成立する。絵空事とお思いかも知れないがデルやトヨタでは現実で、メーカーズシャツ鎌倉やZARAでも近似した仕掛けが成り立っている。
 崖っ縁に追い詰められたからこそ、身を捨てるような発想の転換が可能になる。より少なく高コストに作って、完全消化に近い歩留まりで粗利益を確保する。世にゴミを垂れ流し利益も捨て流してしまう愚かな癖はもう止めようではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/10/25 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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