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きものギョーカイの二の舞か
 朝夕がめっきり冷え込んで秋らしくなった週末、夏物を仕舞って秋物をロフトから出す模様替えに半日を費やしたが、旧シーズンの秋物に袖を通してガックリと来た。サイズが合わなくなったりオフトレンドが気になって着られない服が半分近くあったからだ。
 サイズは個人的問題でなんとも言えないが、トレンド的には買ってから3年が恥ずかしくない限界で、素材やシルエットが時代ズレして見えて来る。長く持たせようとトレンドの先を読み過ぎて外したり、安全パイを狙った定番がトレンドの急転でワンシーズンで終わる事もあるが、概ね外さないのはやはりギョーカイの玄人なのだろう。それでも3年が限界というのはトレンドのサイクルを如実に示している。婦人服の方が速いように見えるが、実際には紳士服も大差ない。どちらもほぼ3年サイクルで流れが変わるが、トレンドが変わっても気にならない(気がつかない)人の比率が男性の方が高いだけだと思う。
 世に‘定番’と言われるものも年々、フィットや素材を微修正しているからこそ3年という賞味期限を超えて続くのだろうが、ファストファッションなど翌年になると去年のデザインや柄が目立って着れなくなるから、端からワンシーズンでの使い捨てと割り切っているのだろう。エコ・リサイクル社会とは無縁の‘ゴミ量産機’としか思えない。とは言え、逆に何時までも着続けられるようではタンス在庫が蓄積して新品市場を押し潰してしまう。
 バーゲンしてもファミリーセールを繰り返しても半分が残ってしまうという衣料品流通はもはや破綻しているが、流通在庫が中古衣料としてパッキン幾らでアジア圏に輸出されていく仕組みが出来上がっているから、流通在庫やタンス在庫が際限無く積み上がる訳ではない。そんなガス抜きの仕組みが成り立たず新品市場を押し潰してしまったのがきものギョーカイだ。
 毎シーズン、衣料品やブランド雑貨に投資を続ける顧客は相当な‘着道楽’で、日本経済の衰退や少子高齢化とともに減少していく‘絶滅危惧種’と謂わざるを得ない。そんな‘着道楽’顧客の幻想を追った挙句に流通のロスとコストが狂気の沙汰まで肥大し、市場規模が1兆8000億円(80年)から2800億円と金額で六分の一以下、数量で十分の一まで激減し、流通在庫が3兆円と市場規模の10年分以上、タンス在庫が30兆円と100年分以上にまで積み上がって新品市場を押し潰してしまったのがきものギョーカイだが、アパレルギョーカイの実情ももはや大差ない‘狂気’の域に近づいている。
※きもの業界の実情については東レ経営研究所の足立敏樹氏のレポート(繊維トレンド15年7・8月号)を参照させていただいた。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/10/13 09:16  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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