« 前へ | Main | 次へ »
百貨店はPBの前にやる事がある!
 セブン&アイHDは構造改革の一環として、そごう・西武とイトーヨーカドーで展開する「セットプルミエ」など衣料品PB3ブランドと傘下のバルスと組んだ雑貨ブランド「ボンボンホーム」を今秋冬シーズンで終了する。「セットプルミエ」は15年秋冬物からの展開だったから、わずか3シーズン、「ボンボンホーム」も15年春からの展開だったから4シーズンで終わる事になる。
 「セットプルミエ」は8月23日のブログ「時代のデザイナーと大衆的PB」でゴルチェや高田賢三の起用に疑問符を投げかけたが、やはりモードより着回し易さや機能性を求める今日の一般消費者には受け入れられなかったようだ。百貨店のデザイナーゾーンならともかく、百貨店のお手頃平場や量販店の顧客とは乖離が大きすぎたのだろう。百貨店と量販店の共通PBという在り方も無理があったのではないか。
 それはともかく、百貨店のPB開発はこの四半世紀、上手くいった試しがない。「この四半世紀」と断ったのは60〜70年代には成功例もあったからだが、百貨店顧客の中産階級がすっかり疲弊した今日、衣料品PBに期待されるのは華やかなモードではなく、お手軽に着回せる機能的な日常着になってしまった。ゆえに利幅が取れる価格が設定できず、ロットの小ささや消化率の低さから取り組みアパレルとの関係もギクシャクして立ち消えになるケースが多かった(細々と続いているものもあるが)。
 そんな壁を越えようと百貨店各社は大手アパレルとの取り組みを諦めて量販アパレルと取り組んだり、伊勢丹のように縫製工場直の開発を試みるケースも見られるが、必ずしも上手く行っていない。その要因は以下の3点だと推察される。
1)工場の操業率を維持する継続的MDが組めずロットが限られた随時の発注に留まり、生産効率を阻害する細かい要求も多く、工場側が疲弊してしまう。
2)消化仕入れや個店帳合いの限定的買取しか経験のない百貨店には在庫の最適配分・店間移動のノウハウが無く、店舗数の少なさや旗艦店への偏りもあって消化が進まず、不振在庫が積み上がってしまう。
3)開発コストも販売コストも割高で消化仕入れのVMIに比べて収益性が格段に低く、拡大するほど全体の収益が悪化する。SPAの常識から見れば、粗利益率35%では大幅赤字は必定だ。
 というわけで、百貨店のPBは収益貢献の見通しが立たず、経営陣の面子を立てMD技術を継承し社内に業務を与える内部対策でしかないのが現実だ。ブランド流通のプラットフォーマーとして生き残るべく、後方物流改善や情報システムのリセットでVMI効率を極大化し、オムニチャネル利便を追求するのが先決ではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/10/12 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

コメントする
名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク


コメント


« 前へ | Main | 次へ »


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ