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工場発ブランドの成功条件
 ジャパンメイドの気運に乗ってか工場発ブランドが次々と登場しているが、残念ながら軌道に乗るものは極めて限られるのではないか。何故なら‘物づくり’の技を主張するだけで流通・消費と生産のオンライン関係を築けず、年間に渡って工場稼働率を維持するMDと流通の仕組みを欠いているからだ。
 ブランドを持たない工場はアパレルや商社から不定期随時な発注を受けるフリーランスな存在で安定継続したオンライン関係に無く、発注側は工場側の生産仕様開発や設備の組み替えなど前工程や生産効率、閑散期と繁忙期など考慮する訳も無いから、トヨタやデルのようなオンライン操業(いわゆる看板システム)は期待すべくもない。その壁を超えんとする工場発ブランドも多くは古典的な卸流通に依存しており、年に2〜4回の展示会での受注に対応するのみだから、工場の稼働率は安定せず流通経費や在庫の負担も嵩張る。これでは法外なプライスを付けない限り、利益は見込めない。一部の工場ブランドはECや直営店で販路を確保しつつあるが、MDや店舗運営のノウハウを欠いて非効率に留まり、工場稼働率の高位安定という究極目的には繋らないでいる。
 ECや店舗販売による流通を工場稼働率の高位安定に繋げるにはアイテム特科と生産仕様の規格化(前工程を圧縮出来る)に加えて生産工程と販売動向を繋ぐMDアーキテクチャーとVMD展開が不可欠だが、‘物づくり’に拘る方々にはそのノウハウが無く、恐らくは関心さえ無いのだろう。だが、それでは工場発ブランドは永遠に離陸しない。
 「工場稼働率の高位安定を第一義とするMD設計とVMD展開」の好例はかつてのメーカーズシャツ鎌倉に見る事が出来たが、シャツに限らずパンツやワンピース、ニットやカットソーでも同様な仕掛けが成り立つ。素材背景や加工技術に応じたMDアーキテクチャーと顧客のシーズンニーズが合致する必要があるが、アイテム軸か素材軸に特化すれば効率的なFMI(Factory Managed Inventry)が成立して工場稼働率の高位安定が実現出来る。ECとショールーム販売をオムニチャネルに組み合わせば運営効率と在庫効率はさらに高まるはずだ。
 販売と生産プロセスが一本の軸でオンラインに繋がるよう精緻なMDアーキテクチャーを組むノウハウが必要だが、‘物づくり’側と流通・販売側が隔てなく知恵を出し合えば画期的なFDOR(Factory Direct Omnichanel Retailer)事業が成り立つのではないか。‘ものづくり神話’の押しつけだけでは工場発ブランドは離陸しないと腹を括るべきだ。
 
◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/09/29 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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