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お店は小さい方が良い
 外資SPAに煽られてか、やたら大きなストアを志向する企業が散見されるが、果たして正解なのだろうか。確かに大きなストアは商業施設デベから出店条件で優遇されたり、品揃えの迫力やライフスタイル提案でも運営人件費でも有利に思えるが、オムニチャネル化が加速する今日ではマイナス面も多いのではないか。
 出店条件で優遇されるのはモール面からの奥行きスパンが深く、小型店には貸せない奥のスペースまで使ってもらえるからだが、上手くレイアウトして奥まで回遊させないと在庫置き場になってしまう。品揃えの迫力は同時に在庫負担でもあり、家賃や運営人件費が嵩む要因ともなる(どちらも在庫量に比例する)。オムニチャネルショッピングが広がる今日、品揃えのバラエティと在庫効率を両立するにはECによる補完が要であり、売場を大きくするよりECを組み合わせるショールーム販売の方が遥かに効率的だ
 保守坪数が広がれば確かに人時効率は高まるが、大きなストアに在庫を積み上げれば陳列整理と補充が人海戦術になって物流作業が肥大し、ECではAIで済むパーソナルなリコメンドや在庫照会も人手に依存する比率が高くなるから、却ってパーソナルなアドバイスやフィッティングに集中出来なくなる。スーパーマーケットのセルフ販売みたいになって顧客対応に踏み込めず、買上率も客単価も伸びない。ちなみに、化粧品の販売ではドラッグストア型のセルフ販売と着席対面型のコンサルティング販売では客単価は十倍も違う(ほぼ3,000円と30,000円)。
 顧客の顔が見える小さなお店にサンプル陳列してタブレットで品揃えを拡張し(主要商品はお持ち帰り用のストックも持つ)、店内作業に振り回されずパーソナルに接客するショールーム販売の方が買上率も客単価も格段に高く、家賃や人件費の負担も軽く在庫効率も格段に高くなる。お買い上げ品は店舗(他支店も可)でも自宅でもコンビニでもPPPでも受け取れる。ショールーム陳列でも持ち帰りストックを用意できるパッケージ商品(ランジェリーやレッグウェア、服飾雑貨や化粧品など)、お直しや設定設置が必要な商品(パンツやスーツ、家電や家具など)、急いで持ち帰らなくても良い商品では近々に主流となるだろう。
 大きなセルフ販売ストアと小さな対面販売ショップの優劣は、嘗てのEU市場における「セフォラ」対「マリオノー」の闘いで答えが出ている。ギョーカイのトレンドに煽られて不採算な大型ストアを増やす前に冷静に考えてみるべきではないか。
※「マリオノー」に関しては私の旧著「ファッションビジネスは顧客最適へ動く」(現実は動きませんでしたが)に詳しいので、ご興味ある方はご参照ください。
※ショールーム販売やコンサルティング販売のVMDとレイアウトについては11月16日に開催する『VMD&ストアプランゼミ』でビジュアルに解説します。


◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/09/28 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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