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衣料品は毎年、半分売れ残る!
 オーバーストアが叫ばれて久しいが、衣料品のオーバー供給はそれどころではない。90年には11.96億点だった衣料品(アパレル外衣)の総供給点数(総輸入点数と総国内生産点数の合計)は年々増えて直近の15年には27.85億点と2.33倍にも増加したが、総務庁の家計調査から推計される国内総消費点数は11.55億点から13.62億点に微増しただけで、総消費点数を総供給点数で除した推定消化率は90年は96.5%だったのが15年は48.9%と、とうとう50%を割ってしまった。
 もちろん、コンマ以下(0.15%)だがアパレル製品の輸出もあるし統計上の誤差もあるだろうが、総供給点数が2.33倍になったのに総消費点数が18%しか伸びなかったのだから、バーゲンしてもアウトレットに回してもファミリーセールを連発しても処理し切れない在庫が半分近くも発生しているのは間違いないだろう。それが年々、溜まっていくとしたらデッドストック商品だけで十二分に国内需要を賄えるはずで、もはや新たにアパレル製品を生産して供給する意味があるのかと問いたくなる。前シーズン商品と明らかに差別化できる今シーズン商品がいったいどれほど在るというのだろうか。
 最終的に売れ残った商品は焼却処分されたり捨値で業者に売却された後、中古衣料として海外に輸出されたり裁断・仕分けされて原材料にリサイクルされる。かろうじて行き先を推察させるのが中古衣料の輸出総量で、90〜94年は4.5万トン程度だったのが15年には24.6万トンと5.5倍にも増えているから、売れ残り在庫の多くはトン単位でアジア諸国に流れているものと推察される。ちなみに13年の統計だが最大の輸出先は半分近くを占めるマレーシアで、二位の韓国から10位の台湾まですべてアジア圏で合計95%を占める。
 子供服などユーズドで十分というママたちはもはや少数派ではないし、ネットフリマ市場の急成長を見ると背筋が寒くなる。台頭しているアパレルレンタルサービスも実態は余剰在庫を背景としたレンタル+オフプライスのリボルビング販売システムに他ならない。ここまで供給過剰になってデッドストックやユーズドが溢れるとオフプライス流通やC2Cがプロパー流通のB2Cを一段と追い詰めてしまう。ならば新品なんか作らず売らず、デッドストックやユーズドのB2Cに活路を見出すのも一案ではないか。米国のファッションビジネスでは、もはやオフプライス流通がプロパー流通を凌駕しているのが現実だ。
 変化の先行きは過去からの流れを知らないと読みようが無い。目の前の現実に右往左往するばかりでなく、「温故知新」で先行きを見通す見識を養うべきだ。先見の明は「ビジネスモデル変遷検証&近未来予測 経営リーダー育成ゼミ」で学んで欲しい。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/09/21 09:06  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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