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下手な接客はうざい?
 衣料品の店舗売上が低迷する中もECだけは伸びているというのは幾ら何でも??と思うし、経済産業省の15年度EC統計でも物品小売総体のEC比率が5%にも届かないのに衣料・服飾関連は9%に達したというのも内心、ひっかかるものがあった。
 衣料・服飾関連のECが伸びていると言ってもECと店頭で価格が違う訳でもないし(あっても一時的)、店頭でのショッピングに余程の抵抗や不満があるのかもという疑念を捨て切れなかったが、最近、それが杞憂でない事が解って来た。実は多くの消費者が『店頭での接客がうざい』『あれこれ接客されるのが面倒』『ネットなら干渉されずにマイペースで買物出来る』と感じているらしいのだ。
 ギョーカイは『AI頼みのECと差別化するのはヒューマンタッチな接客だ、おもてなしだ』と頑なに信じ込んでいるようだが、それを‘うざい’と感じる消費者も少なくない。EC慣れした消費者はプライベートに介入される事無くAI的にレコメンドされたり在庫を検索したり商品説明やレビューを見たいのであり、『何をお探しですか』とか『サイズを探しましょうか』とか付き纏われたくないのかも知れない。ましてや‘おもてなし’を楽しむほど暇な人は限られよう。店は時間消費の観光施設ではないのだから。
 そんなAI時代の接客は、AIでやり取りした挙げ句に解決出来ない課題をAI以上にスキルフルなプロフェッショナルが解決してくれるという‘救済’なのではあるまいか。アップルストアでの接客、とりわけジーニアスバーでのテクニカルサービスにそれを実感する。多くの顧客が求めているのは適確で素早いテクニカルサービスであって、プライバシーに擦り寄って来る‘おもてなし’ではないと思う。
 店頭でも商品選択やレコメンド、在庫検索やレビュー確認、購買履歴と採寸履歴の確認などAIで素早く対応出来る事はシステムに任せ、販売員はユーティリティやTPOのアドバイス、フィッティングのスキルに注力すべきだ。スキルが怪しいのに笑顔で擦り寄って来られてもうざいだけかも知れない。
 わざわざ出かける店舗の方がECより不便という情況を一刻も早く解決しないと店舗販売の地盤沈下は止まらない。オムニチャネル戦略の本質は『顧客にとっての店舗とECの利便一元化』であり、店舗販売の不便を‘おもてなし’‘ヒューマンタッチな接客’で誤摩化したままでは次に来る恐ろしい局面に店舗小売業は圧し潰されてしまう。数百億円以上の規模ではECと店舗販売のコストは倍も違うし在庫効率の格差はそれ以上だから、『店舗とECの利便一元化』の次に『店舗よりECは安い』という局面が来るのは時間の問題なのではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/08/30 10:23  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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