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IKEAは不便!
 イケア・ジャパンがようやく来秋から本気でECを始めるそうだ。なにせ今時、ECを否定して来店持ち帰りに拘って来たゆえ、ネットには数多のエセIKEAサイト(実質は購買代行業者)が乱立して混乱を招いて来た。それが災いしてか、06年4月に再々上陸して10年も経つのに日本売上は780億円(15年8月期)に留まり、同期間に3014億円も売上を伸ばしたニトリと較べれば伸び悩みを否めない。
 その要因となったのが店頭販売への固執で、スウェーデンのコーペラション思想に基づく顧客の労働分担というセルフサービス神話が背景にあったと思われる。イケアは顧客がストックラックからピックアップして持ち帰り自分で組み立てるという労働分担によって安く提供出来るというロジックで成長して来たが、オムニチャネル消費が広がって加速度的に便利になる今日、そのあまりに重い労働分担が顧客を遠ざけている事にようやく気が付いたのだろう
 すでに他国では11年からEコマースを始めて現在、13カ国に15の顧客向けDCを設置して『店舗販売比率は95%』と公表しており、カナダでは1000坪サイズのショールームストアによるストアピックアップ型Eコマースの実験も始め、日本でも15年10月から熊本でショールームストアのテスト運用を始めている。15年6月9日にはイケア本社がEコマースの積極拡大によるマルチチャネル戦略(なぜか‘オムニチャネル’とは言っていない)を発表して戦略転換に踏み切っているから、日本でのEコマース開始も時間の問題だったが、来秋(17年秋)からとは随分とのんびりした話だ。
 流通業界では『顧客が労働を分担する分、割安に売れる』という‘セルフサービス神話’が未だ健在で、スーパーマーケットから量販SPAまで顧客の労働分担が定着しているが、オムニチャネルなショッピング利便が競われる今日、もはや‘神話’となった感がある。店舗はECに較べての‘不便’や‘労働負担’をどうすれば解消出来るかが問われており、EC同様なAI活用のパーソナルリコメンドや在庫検索、受け取り利便など本質的な‘オムニチャネル化’(ECと店舗が一元一体の利便を顧客に提供する体制)が急がれる
 ‘おもてなし接客’がECとの差別化武器だなんてアナクロな幻想に囚われていては顧客の離反は止まらない。もはやオムニチャネル化は店舗販売存続の必須条件となったと腹を括るべきだ。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/08/26 09:32  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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