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時代のデザイナーと大衆的PB
 セブン&アイHDがグループのPB「セットプルミエ」でゴルチェに続いてケンゾーと取り組むそうだ。百貨店のそごう・西武と量販店のイトーヨーカドーで共通展開するという無理もともかく、若い消費者には馴染みのない往年の著名デザイナーを相次いでPBに起用するというマーケティング感覚には違和感を抱く人も少なくないだろう。
 ケンゾーは70年代、ゴルチェは80年代を象徴する殿堂級デザイナーである事に異論は無いが、どんなに優れたデザイナーにも旬がある。根強いフアンとともに半世紀も人気を保ち続ける教祖的デザイナーも何人かは存在するが、特定の時代の寵児となったデザイナーの多くは時代のイメージから脱却出来ず大衆性を失って行くものだ。根強いフアンは居るとしても、ケンゾーやゴルチェに今日、時代を超えた大衆性があるとは思えない。大手流通業の大衆的PBに位置づけるには無理が在るのではないか。
 発表された高田賢三コラボのカプセルコレクションをネット上で見る限り、何処かにフォークロリックなユーティリティが通底する‘柄と色彩の魔術師’というケンゾーのクリエイションは健在で今様にモダンでもあるが、華やかすぎてターゲットとされる今日の30〜40代の生活感からは乖離している。70年代のブティックファッション時代を経験した団塊世代ならともかく、リアルな現実を生きる今日の30〜40代は煌びやかな和装に近い違和感さえ感じるのではないか。ファッションの価値は時代の生活者との相対的なものであり、如何に優れたクリエーターも時代の大衆性を持ち続ける事は難しい。
 戦後のファッション史を振り返っても、50年代のクチュール再生と60年代の大衆ブランド化、70年代のカジュアルデザイナー台頭と80年代の大衆ブランド化、90年代のストリートファッション台頭と00年代の大衆SPA化、10年代のユーティリティファッション台頭と・・・・・と新潮流台頭のディケードの後に大衆化のディケードが来るという20年サイクルが繰り返されて来た。SNSが拡散する近年の大衆化サイクルはもっと加速しているが、今日の大衆的PBを担うべきは90年代のストリートクリエーターか10年代のユーティリティクリエイターだと思う。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/08/23 09:58  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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