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セール時期論争は終わった
 ルミネと三越伊勢丹が期末バーゲン時期を後倒そうと旗を揚げたのは確か12年の夏からだったと思うが、それから5シーズン目となった16年の夏バーゲンは関係者の思惑を他所に‘需給の論理’が論争に答えを出してしまった。
 期末バーゲン後倒しの旗が揚げられたのは20年も続いた衣料消費の衰退がようやく底を打って回復の兆しが見え始めた時期で、久方ぶりの上昇期待の中で出て来たのが『もっとプロパーで長く売って利益を増やそう』という期末バーゲン後倒し論だった。
 そんな上昇期待も14年4月の消費増税で吹っ飛び、15年秋口からの景気の腰折れを受けて衣料消費は11月から急激に冷え込み、‘衣冷え’が言われるほど販売不振が極まった。冬の期末バーゲンではアパレル各社は大量の在庫を抱えて‘後倒し派’の解禁日を待てなくなり、ECサイトやファミリーセールが先行して実質、年末年始スタートという元の時期に戻ってしまった。
 16年の春夏期は景気の翳りや社会保険料負担の増加も加わって‘衣冷え’がさらに深まり、3〜5月が記録的な販売不振となって在庫が積み上がり、某大手アパレルが5月中からファミリーセールに踏み切ったのを契機に、多くのアパレルがEC先行で6月早々から大っぴらにプレセールやシークレットセールに突入し、6月11日には他大手アパレルのファミリーセールも始まった。
 後倒し派はもはや言い出しっぺの三越伊勢丹とルミネだけになり、三越伊勢丹は7月13日、ルミネは14日からスタートした。大半の百貨店は7月1日スタートだったから大手アパレルはこの間、一物二価を回避すべく三越伊勢丹から他百貨店でセールになる商品を総て引き揚げ、端境企画商品だけで凌ぐという綱渡りを強いられた。アパレル業界の不振在庫の積み上がりは三越伊勢丹やルミネの後倒しセールなど待てる情況ではなく、7月1日から始まる他百貨店のセールも待てないほど追い詰められていたのが実情で、ファミリーセールは6月11日、公式にもZOZOが全面セールを開始した6月24日に前倒されたと総括されよう。
 『産地擁護』とか屁理屈を掲げて顧客に背を向けたセール時期後倒しに‘錦の御旗’が在るはずもなく、衣料消費が再び冷え込んで不振在庫が積み上がるに及び、セール時期は論争前どころか実質、それ以上に前倒される結果となった。
 セール時期は所詮、需給が決めるもので業界や特定の館が恣意的に操作出来るものではない。突出して有力な百貨店や駅ビルが業界をリードした往時はともかく、アパレル業界がコスト負担が重く先細る既存流通を見限って伸び頭のECに注力する今日、有力な百貨店や駅ビルのご無体につき合う余力も意志も無くなったと受け止めるべきだ。来期はZOZOかアマゾンがセール時期を決めるのだろう。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/07/26 09:18  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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