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郊外店の方が儲かる?
 日経の小さなコラムで青山理 青山商事社長の『厳しいと思われがちな郊外(ロードサイド)店の方が利益率が高い』という発言が紹介されていたが、テナント出店チェーンの経営者はこの小さなコラムを見落としてはいけない。何故なら、それは商業施設テナント店と較べてのリアルな実感だからだ。
 郊外ロードサイド店の全盛期はSC開発規制が緩和される以前の80年代だったが、郊外に大型商業施設が乱立する今日でも販売効率こそ落ちたものの一定の収益性を保っている。青山商事に限らずアオキHDのファッション事業も長きに渡って安定した収益を計上している。
 郊外ロードサイド店の何処が商業施設テナント店と較べて有利か。第一に挙げられるのが『営業の自由』で、営業時間や休店日は自店の都合で決められるし、ECへの送客はもちろんEC商品の店舗受け取りや店在庫からの発送も誰にも規制されず課金もされず自由に出来る。その分、メンテやセキュリティの負担は生じるが、営業の自由には代え難い。
 第二に挙げられるべきが『営業継続の保証』で、かつてのリースバック方式でも今日主流の定期借地方式でも、自分から退店しない限り20年前後(契約に拠って15〜30年)の営業継続が保証される。その替わり途中退店のペナルティはリースバック方式では残存保証金と敷金の全額放棄、定期借地方式では敷金の放棄と除却損や取り壊し費用の発生など極めて大きく、当初の業態で採算が取れなくなっても契約を継続出来るようFCなどで代替業態を用意したり、それも難しい場合は代替テナントをサブリースするなどの工夫が求められる。それでも4〜6年の定借期間終了で追い出され、巨額の除却損や現状回復費用でそれまでの利益が帳消しになるより遥かにましなのだ
 『郊外(ロードサイド)店の方が利益率が高い』という青山社長の発言の真意は実にここにある。出店は単年度の営業損益だけでなく初期投資から撤退の費用まで営業期間通算の投資収益率で考えないと企業の収益に寄与しない、という経営見識からの発言なのだ。
 勢いに乗って大量に出店したり販売不振や定借期間終了で大量に退店したりを繰り返すテナントチェーンの経営者は果たして青山社長のような投資見識をお持ちだろうか。年度の損益ではなく出店から退店までの通算損益と投資収益を計算すれば、商業施設への「定期借家契約出店」が如何に不利な投資であるか理解が及ぶのではないか。


◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/06/23 09:14  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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