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二重課金は無理!
 ブランド(テナント)側のオムニチャネル販売が加速する中、それを規制するのか容認するのか課金するのか、駅ビルやSC、百貨店など館側の対応が問われている。
 ブランド側のオムニチャネル販売にはECサイトやHP、SNSから店舗へ送客するウェブルーミング、店舗からECサイトへ送客するショールーミングがあるが、SNSの氾濫やネットマーケティングの進化、モバイルショッピングのメジャー化やID決済の普及で両方向とも加速度的に広がっている。ショールーミングが先行したがオムニチャネル化でウェブルーミングが凌駕し、ID決済の普及でショールーミングが押し戻すといった日進月歩の情況で、顧客のオムニチャネル利便という‘錦旗’に抗って館側が損得を主張する段階ではなくなった
 誰もがスマホを持つ今日ではブランド側のオムニチャネル販売を規制すれば利便を損なって顧客を遠ざけるだけだから、館側も積極的に支援協力するスタンスに変わらざるを得ない。結局はブランド側のEC送客に対して課金するか否か、するならどう課金するかという課題に絞られる。ここで出て来るのが‘二重課金’の問題だ。
 そもそも顧客が自分のスマホからECへアクセスするのは規制も課金も不可能だから、ブランド側が売場に備えた端末からECへ送客する場合に対象は限られる。オムニチャネル販売は双方向的で顧客利便至上だから欧米の商業施設デベのように規制も課金もしなければ問題は無いが、どうしても課金するという場合、ECモールからもリアルの館からも二重に課金されてはブランド側は採算が取れないから端末の持ち込みを止めてしまう。それでは顧客に不便を強いる事になり、顧客は館から遠ざかってしまう。
 ZOZOなどフルフィル型の人気ファッションモールの新規課金率は35%に高騰しており、楽天など総合モールは課金率は低くても自分で集客するマーケティングコストやフルフィルコストが必要でトータルコストは大差ない。それに社内コストを加えればリアルの館に近い経費率になるから、二重に課金されてはまったく商売にならない。ブランドの自社運営サイトに送客を限定して課金するにしても、売上規模にも拠るがモールサイトより6〜7ポイント低いだけだから、アフィリエイト程度の課金率でないと採算が取れない。
 唯一採算が見込めるのは館側がZOZOに匹敵するフルフィル型のファッションモールを確立してブランド店頭からの送客売上に課金する方式だが、ZOZO並みの魅力と効率を実現するのは一朝一夕には難しいし、1000億円を超える扱い高ゆえ16%弱と推察されるフルフィルコストには遠く及ぶまい。ZOZO並みに課金しないと館ECモールの採算は厳しいが、それでは18%前後とされる店頭売上に対する館の課金率に倍してしまう。ブランド側とすれば店頭売上に対する課金率を上回る課金率では館ECへの送客を避けて顧客のスマホに任せるから、館のECモールは成立しない。
 EC送客売上も店頭売上も同一の課金率にするのが着地点と考えられるが、館のフルフィル型ECモールが18%程度の課金率で採算が取れるとは到底思えない。ならば商業施設デベや百貨店はオムニチャネル販売から脱落し、欧米の商業施設のようにブランドに任せて容認するしかなくなる。課金率10%までのアフィリエイト型キュレーションモールが現実的な帰結ではないか。


◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/06/21 09:50  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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