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直買い付け品には気をつけよう
 欧米の展示会シーズンが始まると買い付けや視察に行っていた往時を思い出す。そんな玄人としてのバイイングの記憶と消費者としてのショッピング体験がクロスする事が偶さか在る。
 百貨店のインポート平場などで‘直買い付け品’というのが目に留まる事があるが、イタリー物やフランス物にしてはお値頃感があるので、つい手を出してしまい、結構な割合で後悔する。インポーター物に較べればお買い得と錯覚しがちだが、手頃感と裏腹の難点が隠れている事があるのだ。
 グローバルな知名度がある欧米ブランドはジャパン社や独占契約したインポーターがディストリビューション(流通管理)を担うが、グローバル展開する体制や知名度のないローカルブランドは合同展やショールームでのスポット買い付けに依存する事が多い。百貨店やセレクトショップの‘直買い付け品’は、そのスポット買い付けに拠るものと推察される。
 スポット買い付けには、はっきりメリットとデメリットがある。メリットはジャパン社も独占ディストリビューターも流通を仕切っていないから自由に価格を設定出来るしテリトリーも制限されない事で、店間移動も売価変更も自在だから消化も図り易い。デメリットも相応に在り、知名度がないから価格が通り難く、品質や仕様に難点があっても責任を転嫁する相手が存在しない(インポーター物なら即、転嫁出来るが小売店の‘責任’って何なの?)。
 欧米ブランドを買い付けるには『責務と権利の一致』というルールが在り、品番毎の発注量や年間の取引額が権利にスライドする。スポット買い付けもそのルールの外に在る訳ではなく、一定量以上を発注しないと‘指定アソート’(色・サイズの数量構成)を守ってもらえない。指定アソート臨界は超えても‘別注ロット’(ミニマム生産ロット)に達しないとジャパンフィットに仕様を変えてもらえないから、身幅で合わせると異様に袖丈や着丈が長くなったりする。最低取引額の約束と引き換えに独占販売権を確保しているインポーター物ならたいがいジャパンフィットに別注されているが、小売店の‘直買い付け品’の多くはジャパンフィットになっていない。
 加えて、インポーター物にはシビアな品質検査を要求する百貨店も自社バイヤーの‘直買い付け品’には自主管理で済ませるケースがあるのか、ボタンが取れたり色落ちしたり生地が割けたりのトラブルも結構多い。『直買い付け品には気をつけよう』とアドバイスする所以である。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/06/20 09:23  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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